マンガ『魔女大戦艦』か、はたまた『名探偵が多すぎる』、または芦辺拓の『』みたいな話かと半分くらい期待したが、『十三番目の探偵士』か、もっと言えば清涼院流水ワールドに近いかも(^^;)
前半四割くらいは、登場人物紹介がてら、アメリカ、ブラジル、ウクライナ、日本という四人の名探偵が事件を華麗に推理する短編。
中盤からは、彼らが北海道に集まり、推理ゲームに挑む。
その設定から、推理合戦というか、多重解決、またはツイストを期待する。それはすなわち、序盤に出てくるのは、ダミー、すなわち外れであることは殆ど明白なので、言ってしまえば、いわゆる名探偵ものにおける、バカ警部の短絡的決めつけと大差ないものとなる。少なくとも、読者としては。いま思ったが、こういう設定で、複数の名探偵が推理を披露し、それが否定される前に、読者に、どれが真相か推理させるタイプの推理合戦ものがあってもいいのではないか?
以下ネタバレ
冒頭に出てきた「わたし」の友人が、「名探偵たち」を差し置いて最後に真相を指摘する役をかっさらうのは見えているのだが(だから、冒頭はないほうが良かったんじゃないかなぁ)、それがどれだけ意外かつ説得力があるか、というのが焦点。
なんと本作の犯人は「わたし」かつ、多重人格もの。そういえば、作中、これと似たパターンの某有名ミステリーについて触れられていたわ。
凄いかと言われると、全体的に清涼院流水感(なんか脱力してしまう)が残る読後感だった(^^;)
終盤に出てくるシスターの能力が、催眠術だとか、名探偵の特殊能力なんかはかなり『ジョジョ』のスタンドっぽくもあるし。