思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

雄呂血

☆☆☆

1925年の邦画。今まで見た邦画で一番古い記録更新か。なにせ無声映画。日本映画チャンネルでは、いまの弁士が声を充てている。BGMも落語の出囃子みたいな編成で弾いてるのかな? 特にクライマックスの捕物シーンでは、ちょっとひどいくらいのアンバランスさで、まるでお笑いコントみたいにしか見えなかった。
ストーリーは、ある侍が片思いしたが、叶わず、牢に入って出てきたら、生写しの別人に出会うが、また牢に入れらている間に結婚している。そのあと、とある挟客の用心棒をしていたら、初恋の人が人妻として囚われてくる。彼女が手籠にされるのを助けようとして、人騒動の時に役人が乗り込んできて取り押さえようとするのを逃げるときに大立ち回りをする。でも結局捕まって、連れてゆかれる主人公に向かって感謝する初恋の人、という流れ。
作中で入牢が3回、時間が3回も飛ぶ、というのは史実を元にした作品でもないとありえない構成。でも、フィクションだよねぇ。
ラストの立ち回りは、上述したように、BGMが酷いこともあって、全然ダメだった。
それよりも序盤の立ち回りは、主人公の凄みと、それを捕らえようとする役人のへっぴり腰が対照的に描かれていて、こちらは現在でも表現できないリアリティがあった。
メイクのみならず、ポーズや顔の演技にも歌舞伎の影響がモロに出ていて、当時の映画の立ち位置が窺い知れたのも興味深かった。