鳴海風
☆☆☆☆
新潮社
有名な『塵劫記』に始まる江戸の和算ブームや、各地に残る算額。昔の日本の数学事情はどんなのだったのか、江戸時代の8人の数学者の列伝。いずれおとらぬ、風雲児たちであった。中でも、感銘を受けたのが山口和(かず)である。
「三回目の遊歴は、全6回の遊歴の中でも最長のものとなった。およそ2年4か月をかけて、全国各地を渡り歩いた。」
「旅の途中で門人にした人の記録(略)には、じつに二百四名が記されている。」
というから凄い。
幕末に海軍伝習所から、アメリカ使節に同行して測量術をふるった小野友五郎などは、
「友五郎にとって、西洋数学と和算は決して対立するものではなく、それぞれ伝統に根ざした尊い学問であった。」
と、どちらも極めた、文字通りの風雲児である。
本書では、和書の写しはのっているが、和算の具体的な計算方法は書いていない。そろばんだけでどうやって計算するのか、気になるところだ。(小学校でもそろばんの使い方はさっぱり分からなかったので(^^;))