『空母いぶき(9)』
☆☆☆★
政治家にあくまでも先制攻撃を封じられたいぶきは、中国軍に沖縄の空港攻撃を許すことになる。
それはいいとして、最大風速70メートルの大型台風に突っ込んで一隻も欠けないのはリアリティに欠けるガッカリポイント。
空港攻撃を知らされたら、さっさとミサイル攻撃すればいいと思うのに、撃たないのは、悪く言えば番長マンガ的なハッタリ、よく言えば総理でも幕僚でもないのに、政治的(政略的)に動きすぎ。
空母いぶき 9 (ビッグコミックス) かわぐち かいじ 惠谷 治 小学館 2018-03-30 |
『28週後……』
☆☆☆★
とにかくカメラが手持ちかつグラグラ揺れるわ、てんかん持ちは絶対見られないようなチカチカ点滅するわ、画面が見づらい。それを除けば、前作をうまく発展(継承とひねりとのバランス)させていて、設定的には好感がもてる。
ゾンビ抗体を持つという設定も『アイアムアヒーロー』でパクられてる。いちおうその子供だけは守る、というメインストーリーはあるものの、母親のほうが、父親に感染させるという役割を終えるとすぐ退場する。全体構成のバランス的には、いびつ。
ラストも、とりあえず一段落して終わりで、子供も血液から血清を作るところまでは至らない。あくまでも、物語を転がす要素にとどまっているのだ。要するに、走ってくるゾンビから逃げる、軍隊はバリバリ始末する描写がしたいだけ。ジャンルムービーだからそれで良いのだ。
総論として、それぞれの要素は面白いものが多数あるが、まとまりは良くない。でも、前者のあちこちシーンだけ飛ばし見してしまうような魅力がある。
魅力1
ゾンビと区別できないので一般人をどんどん殺害。
本シリーズのゾンビは、いわゆるゾンビ歩きをしないので、遠目には区別できない。夜間で、屋上から選別して狙撃できないので、のべつまくなしに狙え、というのも理に叶っている。
魅力2
ゾンビたちをヘリのローターでバリバリ切り裂く描写が斬新。リアリティ的には、ローターにそこまでトルクがあるか分からないので、一人くらいならともかく、十人前後まとめてなんて無理?
魅力3
町の一区画を焼き払ったり(文字通りのブロックバスター)と、スケールアップした終末感演出が良い。『インディペンデンス・デイ』や『ガメラ3』よりも爆発の規模が小さいので、身体が燃え上がる描写があるのも◎。
28週後… [Blu-ray] 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2010-08-04 |
『新しい1キログラムの測り方』臼田孝
☆☆☆★
講談社ブルーバックス
国際的な測定基準は実は少しずつ変わっている。科学技術の発達に伴い、わりあい知られているマクロなものから、原子や光子など、普遍的かつどこまでも精密な単位を定める必要があるのだ。メートル原器やキログラム原器の他にも、速さや温度の基準の歴史を紹介している。
基本的に広く浅くなので、入門書とはいえ、科学の基礎知識がないとしっかり理解するのは難しい。
「もし今日国際キログラム原器が破損してしまっても、日本はキログラムを独自に維持することができます(別のシリコン球でもその質量を同等の精度で決定することができます)」
最新の質量原器は、純粋シリコン結晶をもとに決定している。その測定精度を有するのはドイツと日本しかない。
新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる (ブルーバックス) 臼田 孝 講談社 2018-04-18 |