思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

首都消失(上)』
☆☆☆☆

小学生くらいに見た映画の印象が最悪に近かったので敬遠していたが、原作は面白いじゃあないか!
タイトル通り、もし、首都が消えたら日本はどうなる?というifを突き詰めたポリティカル・フィクション。当然本作が先に書かれたのだと思うが、さらに日本列島そのものがなくなったら、と論を押し進めたのが『日本沈没』である。
首都にある人と組織がまるごとなくなったらどうなるか?を主に経済と安全保障面からシミュレーションしている。当然、インターネットや携帯もない時代なので(何しろ、ハイビジョンテレビやウォークマンが最新技術の製品として登場するくらいだ)、時代遅れの部分もあるが、安全保障の脆弱さは現在でもほとんど変わっていない。
首都圏を覆う謎の雲については、少なくとも上巻ではSFっぽい「描写」はあるが、高密度のバリアーが回転して気圧が下がって雲が発生…みたいな説明はなく、アニメでよくあるバリアーと大差ない。
首都消失そのものは、首都直下地震で全く同じことが起こるわけで、その警鐘の意味でも、今こそ映画のリメイクが望まれる作品。『シン・ゴジラ』では都合よく人、組織に生き残りがでたが、根こそぎ壊滅してもおかしくなかったのだ。


けいおん! 劇場版』
☆☆☆★

テレビシリーズでキャラが固まっている場合、劇場版では、登場人物たちが違う場所に行く場合は、登場人物たちのリアクションを描くだけで話ができてしまう。本作はテレビシリーズでは卒業式まで描いてしまったので、卒業旅行を描くというのは、いわゆる「知られざるエピソード」系の話。
それだけでもプログラムピクチャーなら一本できてしまうところだが、本作ではそれに加えて、唯たちが、たった一人の後輩であるあずさに歌曲をプレゼントする、というイベントが加えられている。
前記の点に関しては、シリーズのファンなら安心して楽しめる日常系の描写。
後記は、本シリーズのもうひとつというか、バンドものとしてのテーマだが、私的にはどうでも良かったりする。バンド特に歌っているシーンは、大まかにリップシンクしているだけに、声と表情の微妙な違和感がぬぐえない。
ともあれ、単独の映画としては中の中くらいでも、テレビシリーズのファンなら及第点ぶんは楽しめるだろう。