思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

転生したらスライムだった件(1)』
☆☆☆☆

看板に偽りあり、というかJAROもん。だって、このタイトルなら、誰でも、転生ものにありがちな、勇者とか魔王とか、いち冒険者ではなく、「アリンコなみの最低最弱になった主人公が、次々に襲い来る、しかしファンタジーRPGではお馴染みの危機をどう回避するか」という機転を楽しむ話だと思うじゃない?!あるいは出オチの短編か。
ところが、本作のスライムは、最初こそ普通だが、脳内には何でも知っているゲームマスター的存在が常駐しており、しかも何かに接触するごとに、物質そのもののみならず、その能力まで自分のものにできるのだ。ってことで、危機らしいものは皆無で、加速度的に能力を増やして行く。
これってスライムどころか、神やん?!
SFのジャンルで言えば「超人もの」。

文章も、特に指摘すべき欠点もない。
タイトルが『キングスライム』とか『無敵のスライム』とか『神』なら、言うことなかったけど、そんなタイトルなら読んでみたいとは思わなかっただろうなぁ…。
ヒーローものとして読めなくもないが、後々(なんと現在では9巻まで出ている)こんな強い主人公を苦しめるのは、(いちおう本巻のラストで、魔王の存在は出てくるのだが)まさしく神くらいしかないのでは?『ドラゴンボール』なみのインフレが懸念される。

転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)
伏瀬 みっつばー

マイクロマガジン社 2014-05-30