思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『私家版戦車入門1』モリナガ・ヨウ
☆☆☆★
戦車の誕生前後をイラストエッセイで紹介するシリーズ。
あとがきで、雑誌連載記事のみを続けてみたら、作者自身が胸焼けする(密度?)のもになったので、片側ページには描き下ろしの軽い(小さな)イラスト・エッセイを入れた構成にした、とあるが、70ページでそれだから、実質35月分。さすがにそれで2500円は高いんじゃないか。文章による解説が同量あってちょうどいい。
内容自体は非常に面白い、というか、戦車好きの教養として知っておくべきものなのでいうことはないのだが…。特に、帯にあるような「マーク1が何人乗りか」というよりも、戦車を何故「タンク」というか、というあたりの方が重要(トリビア?)かも。

私家版戦車入門1: 無限軌道の発明と英国タンク私家版戦車入門1: 無限軌道の発明と英国タンク
モリナガ ヨウ

大日本絵画 2016-03-31


『アナタノシ知ラナイ兵器』こがしゅうと
☆☆☆★
どうも異常に読みづらいと思ったら、「本文」がキャプションなみに小さいのだ。さらに艦船編の各項最後についているメールなんて、ほぼ拡大鏡がないと読み取り不可能。
私見」とか「恐縮」とか文章がくどい(ひどい)のも相変わらず。そりゃ、確かにそう書きたくなる気持ちは十分わかるけど…。百歩譲って、雑誌ではその月に初めて読む人もいるわけだから良いとしても、単行本化する際は大幅に改稿すべきである。
商業連載なので、編集部の意向も入っているのが良くも悪くもある。その代表が、これまで旧日本軍の兵器だけしか扱っていなかったのが、米軍の艦載機が二つ(ヘルキャットとアベンジャー)入っていること。個人的にはこの二つはどうしても良いとは思えなかったのだが…。
本書で最も興味を惹かれたのが「銀河」。これはプラモを作りたいと思った。

アナタノ知ラナイ兵器アナタノ知ラナイ兵器
こが しゅうと

大日本絵画 2009-12-10

『戦車模型低級技術指南 やりたくないことしないで作る面白いだけのプラモデル技法書』ローガン梅本
☆☆☆★
副題の通りだが、要するに、サーフェイサーを吹いて、一旦は綺麗に塗り分けしてから汚し塗装に入る、という定番の方法を省略。最初は雑に塗ることで、修正がてら汚しまでやってしまおう、という方法だ。塗りムラや、拡大鏡がないと見えないようなところは気にしない(本書では「オッサン力」と呼称)のがポイントだ。
そしてその分、というか、力を入れているのがフィギュア改造とダイオラマベース。素人的には、そこは真っ先に省くべき部分じゃない?と思うのだが、それによって、戦車の仕上げが雑でも、ドラマ性や躍動感、生命感が生まれるのだ。特にフィギュア改造は、戦車より時間をかけているくらい。
特に戦車は、小学校低学年の息子に塗らせていたりしてムラムラなのに、出来上がりはそこそこシャープなのは、サフレス塗装だからだろう。それでも下塗りとしてオキサイドレッドとかフラットブラックは塗っているのだが。
とはいえ、模型誌の作例や制作方法では、キッチリ、しっかり作るのが当然と思われている中での、手抜きモデリングの勧めは、大いに触発された。
ちなみに、著者は模型製作の初心者ではなく、戦史研究家そして模型誌編集者なので、やる気さえあれば上級の作品はできるはずの人なのだ。ただ、それを完成させるだけの根気がないだけ(^_^;)

戦車模型低級技術指南: やりたくないことしないで作る面白いだけのプラモデル技法書戦車模型低級技術指南: やりたくないことしないで作る面白いだけのプラモデル技法書
ローガン梅本

大日本絵画 2011-11-10