思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『アラビアの夜の種族』
☆☆★

数年前に挫折した本に再挑戦。でも、やはり面白くなかった。
戦争(侵略)を止めるほどの魔力のある本の内容を語る、というもの。言わば究極の本(物語)である。とんでもない大風呂敷を広げたものだ。流水の『ジョーカー』や、海外文学『サラマンダー』に通じる。読んでいる最中には、『西遊記』『黒死館殺人事件』を連想した。
作品の設定は、ナポレオンのエジプト侵攻だが、作中作の内容はアラビアを舞台にしたファンタジー(SFや推理関係の賞を取っているが)。
語り口調なので、『指輪物語』的というよりも、講談的な文体。
ただし、会話の口調は現代的というか「チャラい」ので、作品世界に合っていない。
そもそも、作者が翻訳した本である、という形式をプロローグとエビローグに内包しているので三層構造。ただの異文化ファンタジーにしなかった意図は、成功しているとは言い難い。何せファンタジー部分が面白くないんだもの。プロットそのものは面白いので、本当に物語るように、あらすじだけ(浜村淳のように)語れば、ボリュームも半分以下になって、面白さも倍増したのになぁ…。