言わずとしれた和製スペースオペラの名作のコミカライズ。
面白いのは、キャラのみならずメカのデザインもアニメ版に準拠していること。だからこそ「小説が原作の漫画化」ではなく「コミカライズ」と書いたのだ。
とはいえ、藤崎キャラにはなっていて、しかしながら、少し東夷南天（と挙げても何人が分かるか…）っぽい雰囲気。金髪の睫毛の表現が独特。『ビートレス』表紙イラストのようなイメージも。
丁寧に会話を追うより、大コマを多用して印象的なシーンを並べたという構成。ま、まだ一巻を終わってもようやく軍人になったところなので、序盤は駆け足で、という構成を取っているだけかもしれないのだが…。
森の中に光る空間と、ドックナンバーがその背後の空中に浮かんでいる宇宙港のビジュアルが面白い。１章終盤の艦隊帰還シーンの迫力が凄い。CGによるぼかしの効果がよく発揮されている（どうでもいいが全ページ断ち切りでノンブルが一切ないのに目次をつける意味はあるのか…？）。
冒頭に小説じたいの説明を入れるというメタっぷりもそうだが、ナレーションが誰の視点なのかよく分からないのが唯一の不満点か。
しかし、悪くはないのだが、本作の面白さの殆どは原作小説が有しているそれだよなあ…。ある意味原作に忠実と言えるが、藤崎マンガならではの良さは、今のところあまりない。
 | 銀河英雄伝説 1 (ヤングジャンプコミックス) 藤崎 竜 田中 芳樹 集英社 2016-02-19 |
