思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

銭ゲバ(上)』
☆☆☆★

ちばてつやの絵で、石ノ森章太郎のコマ割りで、『墓場鬼太郎』や『弥勒王』の物語を語れば、こんな感じになるかも。
石ノ森章太郎のコマ割りなので、大コマや繰り返しが多い。絵はちばてつや永井豪の悪いところを足したような感じ。
ストーリーは、不遇の境涯(『リングにかけろ』の序盤みたいな)の風太郎が、あらゆる手段を使ってのし上がり、金持ちになろうとするピカレスク・ロマン。あっさりと人殺しを繰り返す(警察にマークされたりもするが、捕まらないのは作り話だがら)あたり、ノワールといったほうが適切かも。
銭しか信じないとは言いながら、この世には何か真実の「美」があるに違いない、という主人公の信条描写かうまい。
手放しには誉められないが、続き(下巻)が気になる作品であるというパワーがあることは間違いない。
おそらくは野垂れ死ぬしかないのだろうが…。