思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

西田順生『買いたたかれない会社の3つの戦略』

「新規品は安く売って、既存品を値上げすることなのです。(略)新規の引き合いがあった製品については、“買いたたかれた値段”で仕事を取り、従来から受注している製品については“売価を上げる”のです。(略)答えは簡単です。 「あまりにも安く売りすぎていた製品」にスポットを当て、値上げをしたからです。」

「取引開始前に、“取引条件”を必ず書面にして、きっちりと取り交わすことが大切です。 最悪、取引開始後になったとしても、バイヤーと話し合って決めたことを議事録に残し、先方のサインをもらうことが大切です。 「議事録にサインをもらうなんて、言えないよ……」 このような弱腰ではダメです。これでは企業対企業のビジネスを行っているとは言えません。(略)これらの取引条件は、必ず見積書に書いておくこと」

「見積もる原価は“実力値”でいいのです。なぜなら、無理やり(略)見積もったとしても、実績が(略)収まらないからです。(略)原価は原価で実力値を正しく計算し、値決めは、原価を下回って売ればいいのです。つまり、赤字で売るのです。(略)すなわち、「赤字である」ということを見える化することが、最大のポイントなのです。」

「赤字であることを隠してはなりません。むしろ、「赤字で売っているんだ」ということをみんな公にして、次の策を講じるほうが、経営にとっては実は大きなプラスなのです。」

「この会社では、価格交渉を担当する営業マンと部長が、“決戦前夜”にロールプレイング(模擬演習)を行って(略)セールストークを繰り返し、繰り返し、練習していたのです。 このような“返す刀“となる価格交渉カードを数多くつくり、さらに前日にトレーニングするとは、とても素晴らしいことだと思いませんか。(略)もし、1%高く売ることができるようになったら、営業利益が1%も上昇することを忘れてはなりません。」

「多くの会社の儲からない原因は、“請け負け”にあります。(略)“3つの条件”を、見積もりする直前までに、しっかりとお客さまと取り決めて、記録に残すことなのです。
1仕様条件
2数量条件
3取引条件」

「たとえば、A製品について、いま100円で売っているものを、お客さまから「95円にしてよ」と言われた場合、数量が増加傾向にあるのであれば、多少は値を下げてもよいでしょう。 しかし、販売数量が落ち込んでいる中で、値段を下げろと言うのは、非常に酷な話です。(略)ひどい場合(略)手配をした材料が山ほど倉庫に積み上げられていることもあります。(略)私はこのようなときに、“無下に断れ”と言っているのではありません。 大切なことは、「数量が減っていて、原価が上昇していることを、実際の証拠をぶつけて、公明正大に訴えること」なのです。」

「皆さんは、変動価格は100%回収したいと思っているわけです。(略)“+α”は、固定原価の回収に回る分なのです。(略)固定費という厄介な費用は、24時間・365日、寝ても覚めても出費されている(略) 「限界利益」とは、売価から変動原価を差し引いた数字をいいます。(略) 総利益はマイナス20円ですが、限界利益10円分が機械代金などの固定原価を回収してくれているわけですから、“ないよりはマシ”な製品というわけです。」