思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

反日メディアの正体』古屋経衡
☆☆★

著者の『ネット右翼の逆襲』は独自のデータ(フェイスブックアンケート)に基づく優れたものだったが、本書はジャーナリズム的なネタであるにも関わらず、取材が甘く、もっぱら著者の印象に終始している。本書はノンフィクションではなく、評論である。

「日本人は、「政府よりも、マスメディアの言っていることを正しいと信じる」という、先進国で唯一の、強烈な、摩訶不思議な思考回路が存在している」
という原因が、戦後の敗戦原因を新聞およびその傘下にあるテレビ、ラジオが「国」に押しつけたこととしているが、その根源であるGHQや、そもそもそれを受け入れる日本人の国民性まで踏み込まないと、説得力がない。

野口悠紀雄1940年体制(総力戦のための中央集権強化体制)と反日メディアを結びつけることを思いついたのが本書の執筆動機のようだが、やはりこれも説明になっていないと思いと思う。