思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『キングを探せ』
☆☆☆★

倒叙もので、四重交換殺人が描かれる。何の説明もなく共同謀議の場面から始まるなど、余計な人情ドラマがないのが良い(後から回想シーンや捜査の結果として読者の前には明らかになる)。これが宮部みゆきなら、いち市民がどういうきっかけで殺意を抱き、交換殺人を思いつき、候補者を探すかを、五倍くらいのボリュームで長々と描くところだろう。
法月親子は第2章から登場。
交換殺人が最初から明らかにされている場合、倒叙ものとして、瑕疵かどう出てくるか、という正統派パターンと、ある種の叙述トリックものがあるが、本作はそのミックスとも言える、ド本格作家だけある佳作の小品といえる。