思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ブラック企業ビジネス』今野晴貴
☆☆☆★
朝日新書

ブラック企業とそれにまつわる問題を扱ったノンフィクション。新春そうそう暗い気分になってしまった…(*_*)

ブラック企業とは、「新興産業において、若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業」である」
「今ではブラック企業の「一般的な使われ方」は、もともとの語源や意義とは異なってきている。「違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業」というのが、現在の一般的な使われ方だろう」

「司法制度改革によって(略)国家試験である司法試験に合格したにもかかわらず、経済的な理由から法曹への道をあきらめざるを得ない若者を生み出し、他方では、基本的なスキルすら持たない「無能」な弁護士を大量に生み出している。そして、被害に遭うのはクライアント、つまりは(略)一般市民である。」
ま、アメリカの弁護士業界からの圧力の結果(いわゆるアメリカの陰謀)といえばそれまでなんだけど。

「日本の学校は驚くほど学生に労働法や職場トラブルへの対処法を教えない。」
確かに、投機だか投資の授業なんかよりよほど必要な知識だわな…。

「より問題なのは、大学や専門学校が入学者数・受験者数を増やすために就職率を競っていることだ。(略)中には、就職実績を「水増し」するために、ブラック企業に大量に学生を送り込んでいる学校も見られるのである。(略)両者の間に「ビジネスの共犯関係」が成立していたと見るのは、邪推だろうか?」
これにも言えるように、ブラック企業にまつわる問題は、企業、弁護士、社労士が金儲けだけに走っていることが問題なのだ。バブル以前、アメリカからの圧力に屈する前の日本を取り戻せ、と言いたくなる。

では、自分が被害に遭ったらどうするか。
日本労働弁護団、過労死弁護団など先駆的な団体が活躍している。日本労働弁護団は全国に約1500名以上の会員を持ち、労働者の側にそって専門的な弁護を行っている。(略)労働事件に関して言えば、一般の弁護士と日本労働弁護団所属の弁護士とでは、報酬から実際の訴訟能力(労働事件の専門性)、サポート体制などがまったく異なっている。同じ弁護士などとは考えない方が良い。」