思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『世界のインテリジェンス』小谷賢編著
☆☆☆★
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アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ソ連/ロシア、イスラエルそして日本のインテリジェンス機関についての組織説明と歴史、著名事件について述べた本。
比重としては組織図や組織史の解説が多いので、庶民としては、物語的なエピソードが読みたかったところ。多分に教科書的なところがある本で、専門家の入門書、というのが妥当な分類か。
アメリカのインテリジェンス組織が意外と組織対立などで意外に有効に機能していないとか、フランスが逆に攻勢面では優秀だとか、面白いところもあったが。
日本については麻生幾の小説の知識とそれほどの差はなかった印象(麻生幾の取材がすごい、ということ)。

真珠湾奇襲について今日でも、ルーズベルト大統領は日本がハワイを攻撃するのを知っていたのに反戦ムードの強い世論を変えるために放置したとの陰謀説が絶えない。暗号解読などいくつもの手がかりがあったのに、不思議なほどそれらが生かされなかったからだ。真因は、情報が集約されなかったためであった。暗号はトップ・シークレットとして政権首脳にしか知らされず、その他の手がかりは陸海軍やFBI、国務省に分散していた。縄張り争いや遠慮もあったが、そもそも集約する仕組みも機関もなかったのである。」