思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ふわふわの泉』野尻抱介
☆☆☆☆
ハヤカワ文庫SF

2001年に出た本の復刊版。あとがきはちゃんと現在の作者が書いているのが嬉しい。
そこに書かれている通り、『ぴあぴあ動画』と同じような、新素材の発見が社会インフラを変えるのをダイナミックに描いた作品だ。
本作では、ダイヤモンドより固く、薄くて空気に浮かぶ球「ふわふわ」のさまざまな応用が最大の見どころ。単なる気体ではなく、紐やブロックまでかたちを変えるテクノロジー/発想がすばらしい。
中盤以降は明言されていないが、『楽園の泉』のオマージュになっている。今気がついたが、タイトルの「泉」や、唐突に異星人が登場するのがそれである。
先にダイナミックと書いたのは、展開のスピーディーさで、これがホーガンなら500ページの上下巻になっているだろう。