『ジークフリートの剣』
冒頭、老婆の占いによる予言が、いついかなる形で実現するのか?を描いた。
途中まで気づかなかったが、『トスカの接吻』で瞬一郎によって語られる、彼と藤田との出会いを描いた前日譚的エピソード。
作者の作品中、最も本格ミステリ度が低いが、十分に面白い。逆にいうと、東野圭吾的というか、本格ミステリに馴染みのない一般読者には格好の入門書といえる。
(ただ、『トスカの接吻』を読んでいたからすんなり読めたかもしれないが、初読だとオペラ関係のペダンティズムが少々高いハードルに感じられるかもしれない)
主人公の一人称だし、女たらしっぷりがちょっと鼻につくかもしれないが…。
ジークフリートの剣 深水 黎一郎 講談社 2010-09-30 |