思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

司馬史観と太平洋戦争』潮匡人
☆☆☆☆
PHP新書
まずは、戦後GHQによって使われるようになった「太平洋戦争」という言葉の定義が不明である、というのが面白い。戦前使われていた「大東亜戦争」を使用禁止にしたいがために無理矢理押しつけたものだから、破綻しているのだ(^ε^;)
つまり、いわゆる東京裁判で糾弾された範囲からすると、支那事変を「太平洋戦争」に入れることになるし、その終結も、敗戦を御前決定した時か、ミズーリ号上で調印した時か、はたまた軍事占領が解かれるまでか、定義されていない。

メモ
「肝心な部分を正確に引用しないのはリベラル派・反米派の常套手段である。」
私たちも(?)引用・批評するときは注意しなければ…。


『瀕死のライオン(下)』麻生幾
☆☆☆☆
北朝鮮侵入作戦は、その訓練などの事前準備の段階が(小説的にも)クライマックスで、実際のミッションになると、少し作り物っぽさが気になった。もちろんそれぞれのアクションのディテールは詳細に検証(取材)されているのだが…。
私は読んでいて「まるで山風忍法帖やな…」と感じた。超絶的な能力と、任務の為には自らの命も何とも思わないところなどが似ている。
事が起こってしまえば呆気ないのは『パトレイバー2』と同じだけど。
ちょこちょこ出てくる「狂ってる」という表現に違和感が。英語の「crazy」の意味何だろうがリアルな小説世界と合っていないのだ。やはり「気違いだ」が妥当だろう。
最後の最後、エピローグともいう箇所になって、急に思わせぶりな記述がちょこちょこ出てくるのもいただけない。