バイオホラー、あるいはパニックSFアクションとしては佳作といえるだろう。
休む間もなく次々に起こる展開。ゲーム的と悪口を言えなくもないが、ダレ場のない畳みかけるような事象は、一気読みさせるには十分。
唯一残念なのは、これがデビュー作ということもあってか、登場人物のセリフ回しがぎこちないこと。その筆頭が主人公のハードボイルド調のギャグがことごとく寒いこと。かといって、これを全部取っ払ってしまうと、主人公の個性がゼロになってしまうしなあ…。
いっそのこと一人称ではなく、三人称の群像劇にしたほうが良かったのではないだろうか。
二重螺旋の悪魔〈上〉 (角川ホラー文庫) 梅原 克文 角川書店 1998-12 |