思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

そんなに期待していなかったせいか、かなり面白く感じた。
いきなりエイリアンと同居している、という潔さ(ファーストコンタクトをまったく描かない)のも面白い。
ただ、同居といっても『幼年期の終わり』的な(ビジュアルイメージはまさにそれだが)ものではなく、白人レイシズム的な差別関係にある。そういう意味では北半球ではなく、ヨハネスブルクを舞台にしたことはアパルトヘイトの暗喩だろう。
いちおう公開まで機密だったエイリアンの造型は、エビというかセミの幼虫というか、情けない感じ(強そうだったら見下せないからか)。あまりにもCGがよくできているからか、実際にアップは着ぐるみなのかはわからないが、造形物としてもチープ感が漂う。
彼等の言語は、『スター・ウォーズ』の闘技場にいた奴らのような喋り方だが、字幕は出るものの意思の疎通が普通にできる。学習したのか、ご都合主義なのかはよくわからない。現地の黒人と白人の言葉が通じない場面があったりするあたりは、対象としての皮肉が入っているかもしれない。
ストーリー。最初はボス=主人公がどうも嫌らしいやつで、感情移入できなかった。逃亡者になってからはいちおう応援してしまうが、たんなる判官贔屓かな?という気もしてしまうし…。
エイリアンに変貌して行くというのは、要するに『ザ・フライ』そのまんま、というか、特に新味のあるものではない。
だが、エイリアンのDNAを認識しないと動かない武器や、冒頭に母船から落下して行方不明だったものなど、伏線がしっかりしているので、見ていて気持ちよい。また、デザインがよくできているのも二重丸。エイリアンの機械の
操作方法やグラフィカル・ユーザー・インターフェースも面白い。
中でも特筆すべきはパワードスーツ。これまで見た海外製の映画やドラマに出てきた中ではずば抜けて恰好良い。しかも、エイリアンのメカらしく昆虫を模したような頭までついている。
単純なハッピーエンドではないラストも良い。
そうそう、構造的にはドキュメンタリータッチなのだが、BGMもついた第三者的なシーンもあり、完全に統一されていないのが惜しいところだが、それほど気にはならないだろう。系統的には『クローバー・フィールド』の路線といえるだろうか。

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