アニメ業界を描いたエッセイマンガはいくつかあるが、制作進行の人が主人公のものは初めてかも。
そういう意味では業界をある程度俯瞰したところから見られるのが面白いが、いかんせん完全描き下ろしということもあってか、密度が薄いのが惜しい。
140ページで、改めて見ると各ページ4コマ以下という、4コママンガか!?とツッコミたくなるコマ数なのだ。
この3倍のボリュームでも本としては妥当なくらい。
まあ、“2原”とか、なぜ帰れないのか、といったところは「へ〜」というところではあるのだが。
アニメ95.2 春原ロビンソン ハーヴェスト出版 2010-06-01 |
最初は、小中校生向けとはいえ、ちょっとライトすぎるかな…と思ったが、後半に行くに連れて読んだ内容が自分の中で圧縮されてちょうど良い面白さに。
霞作品におなじみの動物に関する蘊蓄はほとんどないが、その変わり犬に関するダジャレはたくさん出てくる。
その出色は…
「まあ、人間が感じるよりも、社会に対して敏感ではあるよな」
「そもそも、『人』という字に点と線を加えると『犬』の字になるだろ」
「なるほど、人よりも『点と線』が多いのが犬か」
「な、象徴的だろ。だから、社会派らしく足を使え(略)」
犬ならではの謎(?)もうまく使われているし、G8なる8匹+2匹の犬たちの活躍も、『ガンバの冒険』みたいで楽しい。
ラストも綺麗に終わっているし、(あとがきも含めた)読後感も良い。
ロング・ドッグ・バイ (ミステリーYA!) 霞 流一 理論社 2009-04 |