「死人と狂人たち」にはあまり意味はない。カバーもどうにも内容に合ってない気がするし。おまけに出版社名とシリーズ名がイラストと同化して一部読めないし(これは擬態を表現してるの?)。
特に『変態』『擬態』は、統計学あるいは擬態についての講義を聞いているようで、楽しい。それだけでなく、本格ミステリとしての手掛かりや事件も深く静かに進行している。おまけに、3作を通したしかけ、というかボーナストラックとして「読者への挑戦状」を挟んだ『本態』までついているのだが、このタイプの作品が好きな人にはたまらない。
返す返す、カバーイラストで損をしていると思える佳作(というか、内容に見合った評価を受けていない作品)。
本格的 死人と狂人たち (ミステリー・リーグ) 鳥飼 否宇 原書房 2003-09 |