思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

風雲児たち』でも魅力的な大谷吉継。その生涯を知りたいと思って読んでみたのだが…。

秀吉の小姓として重用されてきた吉継だが、ひょんなきっかけから奉行・つまり官僚としての道を歩むことになる。小田原攻めでは活躍できず、武将としての本領を発揮して大暴れするのは最期の関ヶ原まで待つことになる。

実質的に関ヶ原の合戦までを描いたもので、おもったほど大谷吉継の魅力はなかった。

巻末には童門冬二との対談が収録されており、それによって史実とフィクションの区別がちゃんと明かされているのがありがたい。

名将 大谷刑部 (新潮文庫)名将 大谷刑部 (新潮文庫)
南原 幹雄

新潮社 2004-09

図や記号を小説に盛り込んだ短篇集。
倉阪鬼一郎辻真先などが取り組んでいるスタイルをさらに徹底させたような作品が多い。
やはりその白眉は交通標識を並べて強引に話を作った『帽子の男』だろうか。

この他にも、ゲームブック形式かつ、一度読んだ文章の繋ぎ方を変えることで1.5倍の長さの話にした『お薬師様』が面白い。

基本的に、SFショート・ショートとか、SR(ショート・落語)のような話が多い。落語のマクラを聞いているような感じもした。

実験小説 ぬ (光文社文庫)実験小説 ぬ (光文社文庫)
浅暮 三文

光文社 2005-07-12

情報リテラシーを高めることを積極的に推奨する著者の、中国経済にしぼった本。
凄いのは、一般に公開されていることだけで理論を展開していること。これこそ情報リテラシーという実例というか、能力の差を見せつけているというか…。
もちろん、同じだけの情報を得ているはずなのに、事実を伝えず中国礼賛の歪曲記事しか書かないマスゴミへの批判もチクリチクリと。

「1958年に始まった中国の大躍進政策において、毛沢東に命じられたノルマを達成できなかった各地の共産党官僚たちは、揃って水増しした「数字」を中央に送った。それを受け取った毛沢東が、気を良くしてさらに積み増ししたノルマを命じるという悪循環に陥った結果、推計5000万人が餓死し、大躍進政策は史上最大の愚行に終わったのである。」

「金融機関が「ある国」の経済を絶賛するときは、その国に投資をしたいというときではない。「投資を引き揚げたい」ときなのである。本当にその国の株式に投資をしたいのであれば、黙って株式を買いあさり、目ぼしい株式の買い占めが終了した時点で、大声で買い煽りをするだろう。誰が考えても、普通に当たり前の話だ。」

中国経済・隠された危機 (Voice select)中国経済・隠された危機 (Voice select)
三橋 貴明

PHP研究所 2009-08-29