思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『男性的日本へ』読了

日下公人
☆☆☆☆
PHP出版
引用だけ。
道路民営化や郵政民営化の議論がそうだが、官民それぞれの特徴や使命や限界を論ずるのを避けるので、答えは正体不明のお化けをつくることになる。
何をどう塩梅したかが国民には分からないのである。

“決断力"はいつも礼賛される。(略)成功も失敗も決断を通して得られるが、しかし「良い決断が良い結果を生む」とか、「悪い結果が悪い結果を招く」とかは言えない。
話はむしろ逆である。
結果が良ければ良い決断だったと思うだけのことである。(略)“良い選択をせよ"と説くのは空論である。(略)成功している人(略)の理由は運とカンと事前の準備である。(略)事前の準備とは「問題の研究」と「自分の決意」である。

日本はイギリスに近い。もともと憲法はいらない国である。
しかし今は必要かもしれない。
気心が知れない人が外国から入ってきたり、外国思想かぶれの人が子供の教育を支配したりすると、共通の常識が崩れる。
それを防止するためには書き出しておくほうがよいかもしれない。
この場合の憲法は、進歩のためではなくむしろ保守のためで、新しく日本へやってくる人たちに読ませるものとなる。読ませて理解させ、守ることを宣誓してもらうためである。
憲法改正の試案づくりをする人には、この視点が欠けていると思う。
何か進歩的なことを盛り込もうとするのは間違っている。