「われはロボット」の映画化というより、
原案とクレジットされている通り、ロボット三原則とカルヴィン博士のネーミングだけで、
完全なオリジナル作品。
あまつさえロボット三原則を踏みにじって……と、ネタバレにつき自粛。
いちおうフーダニットとワイダニットのミステリーと言えなくもないが、
ウィル・スミスを襲うロボットたちのサスペンスといったほうが適当だろう。
最初はCGといい、大丈夫かな…という感じだったが、
終盤になると引き込まれた。
CGも脚本もミステリ的トリックもB級なのに、見終わった後の満足感は何だろう。
たぶん編集が巧いんだろう。
「スター・ウォーズ ファントム・メナス」
「スター・ウォーズ クローンの攻撃」
「イノセンス」
「パトレイバー 劇場版」
「マトリックス リローデッド」
などなど、どこかで見たような場面が多いのだが、
これまた見終わってみると気にならないのだ。
ということはちゃんと世界観の中に消化・吸収されているということなのだろうなぁ…。
大作映画には珍しく恋愛の要素がほぼゼロだったのも嬉しい。
定番通りならウィル・スミスとカルヴィン博士のロマンスがあるものだが、
良い意味で期待を裏切ってくれた。
ラストは丘といえばゴルゴダの丘、ということで、やはり救世主のイメージだろう。
エンド・クレジットでは「ロード・オブ・ザ・リング」のWETAが並んでいたが、
やっぱり群衆シーンでのマッシブでの協力だろうか。
車のタイヤが球形なのは面白かった。
駐車場が縦置きなのはギャグだろうなぁ…。
トンネル事故で、すぐさまロボットが回収作業に入るのは、
後になればUSRの陰謀絡みだと分かるが、
その描写そのものはアーサー・C・クラークの『宇宙のランデヴー』を思い出した。
その他にも、ラストは人間のロボットの握手があったりと、
(空山基のハヤカワ文庫の超有名なイラストを思い出す)
SFファンの心をくすぐる演出もニクイ。
ツッコミどころは山ほどあるのに、見終わった後の印象がいいというのが凄い。
全く期待していなかっただけに、掘り出し物といえる。