思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ヒルコ 妖怪ハンター
追記

本作で好感が持てるのが、学生のほうの主人公を追い詰める、そして主人公が救おうとするヒロインが、主人公の恋人でもなんでもないこと。単なる片思いなのだ。いちおう、主人公のことを誘っている雰囲気なのだが、人間の心が残っていて、本当は彼女も主人公に好意を抱いていたのか、補食するための手段としてなのか、どちらとも取れるように描いていることだ。
ケーブルのあおりは、モンスターが一匹ではなく、地獄のフタ、というよりエイリアン(いわゆるギーガーエイリアンという意味でもあり、宇宙からの侵略者という意味でもある)幼虫の巣みたいなところが開く、という展開のこと?
色んな意味で面白いのが、沢田研二演じる妖怪ハンターが、武器として色々なものを使うこと。なかでも、商品名ズバリのキンチョールをプシュプシュ噴射すること。これはタイアップなのかどうなのか……。

『ラバランチュラ 全員出動!』
☆☆
完全にC級映画。アメリカのテレビ映画?というCGも安っぽく、出演者もパッとしない。
なんかアメリカの映画の格調は、黒人俳優の感じを見るとよくわかる気がする・・・。
火山が噴火すると、その中からクモが出てくる。なんで火山噴火とクモ型モンスターを一緒に出す、なんて誰が考えたんだ?という企画。
クモのディテールは、なんか黒いタラバガニみたい(^_^;)
不思議というか、手落ちなのは、クモのくせに、溶岩は吐くが、糸は吐かないし、巣も張らないのだ。



ヒルコ 妖怪ハンター
☆☆☆
80年代特撮? 沢田研二が主演で、どこがPG12相当?と思ったら、血は結構出るわ、首はちぎれるわ、と残酷描写が多い。とは言え、当時の世相としてはこれくらい普通(?)かな〜という感じもする。でも、あからさまに作り物なので、別に残酷さはないのだが・・・。
首がちぎれかける最中の描写があったのは珍しいかも。
特に昔を感じたのは、赤い照明。
主演は、大人の事情で沢田研二なのだろうが、実質的には今なら蛍雪次郎が妥当な感じの三枚目なのだ。
ケーブルの紹介では、意外な展開、という後半だが、まあ悪い意味では意外かなぁ・・・(´д`)
ラストのヒロインが宇宙に登ってゆくシーンは、『ビオランテ』の沢口靖子をしのぐ脱力っぷり。

アーマーモデリング 2014年03月号』
☆☆☆★

「対決」特集ということだが、普通は単品でやるものを総集編的に詰め込んだ。たとえば、歴史上のライバル車、ビッグ/スモール、最新/往年のキットなど。
また、本誌モデラー10人への二択アンケートもあるが、質問の立て方と集計の問題もあるので気がつきにくいが、あまり差がないなど、実は企画倒れかも。
ヒトマルコンテストは応募者全作を掲載。どうせなら、プロの本気の遊び的なエキシビションも載せてほしい。このあたりの企画力は姉妹誌『スケビ』に劣るんだよなぁ……。編集が素人かプロか、の差が表れているのかなぁ……。

ジョジョリオン(14)』
☆☆☆★
モカンは、人間とは思えない不死身ぶりだったが、岩人間だったのか……。今気づいたが、ビタミンCの能力はダリの絵画がモチーフか。
常秀のエピソードは、前後編で、ほとんど『岸辺露伴は動かない』と構造及びキャラ(言動)がそっくり。
ただし、狙ったのかどうか分からないが、直後のエピソードが、母ホリーさんの入院費が高額過ぎて足りない、というのが皮肉。まあ、第一に常秀は定助(未だに主人公の名前を覚えられないのは異常→私)に金を払わないだろう。第二に、たまたま思いついたので、思いついたエピソードを無理矢理ぶっこんだだけで、前後関係は考えてなさそう。4部でも、宝くじに当たった杖助がすぐに金欠になる、というエピソードがあったし。

『点と線』
☆☆☆

原作は読んだはずだが、感想がない。そんな昔だったかなぁ……。
鉄道ミステリ的には、東京駅で4分間だけホームを見通せる、という不思議(?)なのだが、現実的には何のメリットもない工作( ´Д`)普通に改札付近でいいやん。
心中の偽装工作の、アリバイ崩しと、動機の解明がミステリ的な本筋。
アリバイのほうは、中盤でなんとなく判明して、動機は回想シーンで断続的に開示されるだけ。犯人は妻に殺されたわけだし、これじゃあ、警察サイドは動機が全く分からない。
しかし、会社での失敗の責任をなすりつけるために殺人、あまつさえ、ほぼ無関係の芸者(今でいえばキャバ嬢か)を巻き添えにするかなぁ……。少なくとも映画からは、タイトルの意味はよく分からないし。
現在の私が見る限り、主役の刑事と犯人は地味だし、志村喬も名優とは言え、やっぱり地味なほう。確かに、犯人の妻には妙な色香はあるが……。でも、病弱とはいえ、その妻をおっぽって愛人を囲ってるわけだし……。
しかし、東京から札幌に行くのに、寝台でもない蒸気機関車青函連絡船など、郷愁を誘う。収穫はそれくらいかなぁ……(^_^;)

『皇帝のいない8月』
☆☆☆★

てっきり終戦時の話かと思っていたら、80年代当時の現代劇だった。
三島事件後の、クーデター。博多発の寝台特急に爆弾を仕掛けた上でジャックして、東京へ向かう。
他の部隊はあっさり鎮圧されたり、あっけない。
首謀者の妻が同じ列車に乗っていて、下らない人情ドラマがあったりと、悪い意味でいかにも日本映画的。
首謀者の主張は、三島のそれをなぞっているだけ。まあ、だいたいは良いだろう。ただし、列車ジャックで一般人を手荒く扱ったり、やっていることは左翼テロリストそのもの。映画屋だから、自分たちが(やってきた)身近な学生運動とかそのへんを転用したんだろうか。
結局失敗するわけで、だから何?という感じ。
全体の見た目も『新幹線大爆破』みたいだで、なおかつできはあちらより劣るし。
しかし、いっぺんフィクションで、クーデターが成功する映画って観てみたいけどなぁ……。

『深夜の告白』
☆☆

ケーブルでの特集名は「蔵出し名画座」。当然というか、白黒映画だ。
伊福部音楽ということでもあって観てみたが、そうでもなければ観なかっただろう。
音楽的には、数少ない劇伴だが、2回くらいかかる五月雨のようなピアノ曲が印象的。さすがは『リトミカ・オスティナータ』を書ける作曲家だ。
物語じたいは、戦争で息子をなくして陰生していた航空機会社の社長が、息子の孫が生きていることを知って狼狽する、というだけの話。今なら昼ドラマにもならないような小品。
志村喬がクレジットされていたが、気づかなかった(^_^;)

モデルグラフィックス 2018年11月号』
☆☆☆☆
どのコーナーもやたらと熱量が高い、情報量が多い感じがする号。
ジム特集も、全ジェガンキット紹介は、キットとアニメ設定をどちらも掲載する隙のなさ。フレームやランナーからジム系MGの進化を辿るなど、全方位的マニアックさ。ナオキのキットを活かした作例なんてどうでもいいくらい。De型たるコンロイ機を改造しておいて、「オススメしません」とか、愛ゆえの暴走も凄い(^_^;)
ほとんど恒例となったけんたろうのジェガン対談も見所(ただし、けんたろうは『ホビージャパン』にも魂を売ってるしなぁ……)
オマケ的というか、幅を拡げるためのネモとヘビーガンもやたらと完成度が高いのだ(^_^;)
模型誌的には無意味な(『ホビージャパン』のみかん的な)かざり女史のグラビアにも、実はノックアウトされてしまってたり(爆)
普段は読み流すカーモデルコーナーも、F1の2台はハウツー的に役に立ちそうな基本を解説してくれていて、読ませる。
最後のミグや駆逐艦まで、やたらと出来がいい。
おまけにニューキット紹介ではなく巻末に敢えて別立てしたビスマルク!どう見ても350という超絶ディテール。絶対に折れたり接着剤がはみ出るであろ上級者向け(にしか見えない)精密キットだ。

アーマーモデリング 2018年10月号』
☆☆☆★
タミヤMM50年特集。その後に出た『ホビージャパン』よりも、格段に広く浅いのが特徴。
ただしこれは、ある意味では深いともいえ、MM以外の35スケールキットの紹介、シェパード・ペイン、バーリンデンのジオラマ、人形改造、タミヤニュース、パチッ、まで押さえているのだ。
解せないのは、大塚康夫氏、大西将美氏を訪問しながら、インタビューがほぼないこと。これはあり得ない。ロングインタビューは別冊にでも掲載するのか……?そうとでも考えないと説明がつかない。作例があって、欄外記事とかで「大塚氏にも見せました」とかならともかく、見開きで氏の写真が載ってるんやで?(@_@;)
今号の真面目が、巻末のMMシリーズ全キット紹介。1ページに8か10キットという小さめのスペースながら、350を越えるキットを全て、というのに熱量を感じる。これがあれば、高価な『タミヤ総合カタログ』3巻を買う必要がないありがたい号。