思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

追記
『エクスペリメント』
被験者の言動の拠り所が、ルール違反の際に鳴るアラームだけなのだが、最初に違反行為として説明されていた死人や暴力が発生しても鳴らない。
そこで、実はその説明が虚偽であり、監視されていないとか、何が起こってもアラームは鳴らない、つまりは某有名ミステリのように、関係者に復讐するという真犯人の動機があったわけでもない。単なるマッド心理学者の実験でした、というだけにしか見えないのだ(はっきり描かれない)。
要するに、こういうゲーム的な設定の場合、ルールにブレや変更、曖昧さがあると、登場人物のみならず、視聴者も、何を手掛かりに見ていいか分からなくなる。言い換えれば、何でもありなんでしょ?から、どうでもいいわ、と思われてしまうだろう。



『綺譚の島』
☆☆☆★
小さな島で起こる、典型的な島田荘司本格ミステリー。本作の特徴は、とにかく「これでもか」というくらい奇妙な現象が起こること。いわゆる謎・広げた風呂敷の枚数としてはミステリー史上でも有数ではないだろうか。
物理的トリックもなかなか豪快(非現実的)なのだが、それ以外にも、どんでん返しがあり、いろいろなタイプのミステリーファン向けのサービス満点の内容になっている。ただし、最後に明かされる○○トリックは、「式の中」の違和感を解消するものではあるものの、殆どアンフェアだと思う。

『推理は一日二時間まで』
☆☆☆★

カバーイラストといい、タイトルといい、設定といい、文体といい、東川篤也か霞流一の作品だと言われても絶対に分からないだろう。
とあるレンタルスペース(オフィス)「秘密基地」に集まった、様々なオタクたちと、一見マトモだが、気の強いアラフォー女子が巻き込まれる絵騒動を描いた連作短編集。
読んでいる途中は、○○トリックが多いなぁ…という印象が強かったが、何のことはない、大オチもそれだった(^_^;)
狂言回しというか、M的ないじられキャラだとされていた「黄色」が最後に活躍するところも嬉しい。
ラノベとしても読めるので、本格ミステリへの橋渡し的にもオススメできる1冊。
「秘密基地」というネーミングのせいもあるからか、『アキバレンジャー』っぽいテイストも感じたり(^_^;)チクリとした特撮ネタもあちこちにあるし。