『シェイファー・ハウンド(8)』
☆☆☆★
完結。最後まであんまり絵の進歩がないなぁ…。
58〜59ページの見開きなんて、車両ごとのパースが合ってないし。
20ページのトリスタンのセリフも、1コマに詰め込み過ぎて不自然。
最終決戦場で新型兵器が次々登場するのは大サービスという感じだが。ツェメリット・コーティングの戦車が容赦なく次々(のコマに)出てくるのは、その作画労力に脱帽するのだが(^_^;)
マーナ・ガルムの目的は、ギレンと同じで、大した意外性もない。結局、最後まで名前の出なかった最終兵器。原子爆弾かと思っていたが、中性子爆弾とか?
最後のカヤとトリスタンの変貌がさっぱり理解できないのは原作の問題か、マンガ化の演出の問題かどっちだ?
ちょろっと出てきたが、女性科学者は『砂漠の獅子』と同じ人ってこと??
シェイファー・ハウンド 8 (ヤングアニマルコミックス) 吠士隆 白泉社 2016-08-29 |
『昔の嘘』☆☆★
過去の知られたくないことを他人に探られる。一人称だけに、記述の省略がもどかしい(イライラさせられる)タイプ。本格ミステリとしては、アンフェアかも?
『ペンギン体験』☆☆☆
作者佐野洋が南極に取材に行った時のエピソードが、第三者的に挿入されているのが面白い。死んだ息子がペンギンに生まれ変わった、という素っ頓狂なアイデアだが、着地は実に地味。内田康夫あたりが書きそう??
『選挙トトカルチョ』☆☆☆
佐野洋への告発状(ミステリのアイデア提供)という体裁が、山田風太郎の初期短編なんかを思わせる。超能力オチとも現実的オチとしても、少し大掛かりすぎるかな。
『烏兎忽忽』☆☆☆
小学生のころの昔の事件を現在捜査する(本シリーズはどれも過去の事件を調べる入れ子形式だ)。カラスに話を聞いた、というのが本作の「超能力」だ。
『爪占い』☆☆☆☆
嘘つきというか、過剰に話を「盛る」男の話から始まる。扱う超能力は「超心理学」。中盤からは『昔の嘘』と同じく、語られない主人公の過去のトラウマが暴かれる展開になるが、シリーズの総決算的にいろいろな要素がうまくまとまった佳作。
『蝶の写真』☆☆
明らかに『ペンギン体験』の二番煎じの印象。展開的には『選挙トトカルチョ』と同じ構造だし。
選挙トトカルチョ (双葉文庫) 佐野 洋 双葉社 2010-12-15 |