思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『浮世絵ミステリーゾーン
再読だが、新たな視点で非常に興味深く読めた。
同一人物(歌舞伎俳優)についての風刺画を比較した結果、実は似ている、という証明も面白い。
参覲交代について
「いってみれば県庁に勤務している半数の人間が知事や市長にしたがって東京に二年間転勤しているようなものである。」
「一冊の書物の値段がなんと二百両という例もある。これは「解体新書」の原典である「ターヘル・アナトミア」のことで、いくら図版中心のものとはいえ、杉田玄白も入手に苦労したに違いない。二百両は今の金額でいうと軽く二千万円を突破する。」

「幕府は贅沢を規制する奢侈禁止令をだし、浮世絵の使用色や技術革新にはさまざまな制限を加えていた。だが、秘画は幕府の制限に左右されていない。秘密出版であるから値段も関係がない。良いものは高く売れる。そこで版元や絵師たちは持てる技術をそっくりと投入し、その時代の最高レベルの作品を出版しつづけた。」

気になった絵師・図版
国芳「東都宮戸川之図』

浮世絵ミステリーゾーン (講談社文庫)浮世絵ミステリーゾーン (講談社文庫)
高橋 克彦

講談社 1991-11