思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『斜線都市(下)』
☆☆☆★

冷凍睡眠(作中では温睡眠)施設オムパロスなる場所へ登場人物たちが集まって、クライマックスとなるのだが、読んででいても、登場人物たちの意図が隠されていたり、視点人物以外の人物に誘導されて動く人物が多いため、もうひとつ、盛り上がりに欠ける。
ミステリーとしての謎が集約された場所かどうかも、読み終えてみないと分からないため、ドライブ感もないし。
こう書くと、どうしようもない駄作のようだが、登場人物の成長をえがいた、いち小説としては、意外と(?)よくできている。

「まずもって、男には目的がなくてはならん」
「美人を妬まないでね。それは金持ちを妬むのと同じことよ。」
「風には声があったが、なにも返事をしなかった。」
などの名言もいろいろあるのがその証拠の一端と言えるだろう。

ネタバレで言えば、本作では(量子?)コンピュータ人格VSバイオコンピュータ、という構図が最後に明かされる。バイオコンピュータにも、蜂のような生物コンピュータと、バクテリアによる微生物コンピュータの二種類が出てくるのが面白い。