思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『the next generation パトレイバー首都決戦』
☆☆☆

中盤までは「押井監督の実写作品にちょくちょくある、地味/退屈な映画か?」とかなり不安になったが、敵のアジトに突入しての銃撃戦からはなかなかの盛り上がり。薬莢が地面に落ちる音が大きいのが迫力(^_^;)
ステルスヘリ・グレイゴーストの実物大を作ってるあたりも頑張ってるところ。
ちなみにこのグレイゴースト、20年くらい前に作られた幻の実写版パイロットフィルムにも登場していて、詳細は『メカフィリア』にも書かれているもの。
F2やコブラとのドッグファイトが実質上のクライマックスと言っても過言ではない。かなりリアルではあるが、何か精巧なプラモデルのような質感(中身がない感じ)だったのが惜しい。ベイブリッジ撃破のミサイルも、ミサイルと実景のパースが合ってない気がしたが…。
結局、後藤さんはその存在が視聴者にはほのめかされるだけで、南雲さんは後ろ姿に榊原さんの声が当てられての「登場」となった。
警視庁会議室での幹部会議など、『パトレイバー2』のオマージュというか、アニメ作品の実写化という側面もありつつ、時系列的には明確に続編という、リメイクの側面とファンサービス的メタな楽しみが混在する、視点の置き所に困る作品。
その割には、『パトレイバー2』以上に、テロリストたちの目的がよく分からないのが最大の問題。『パトレイバー2』は首都に戦争状況(今ふうに言えば非常事態宣言が出るような状況)を現出させることだったが、柘植の意志を継ぐ今回の犯人の一味である灰原は、無視しても何の支障もなさそうな特者二課のレイバーを執拗にねらったりする。
一緒に観た人に指摘されて気づいたが、冒頭、南雲の隣にいた子供が灰原なのか?(時間の経過は示されていないので、冒頭が13年前、柘植事件直後に南雲たちが国外脱出した直後とすればギリギリ灰原の年齢でもおかしくない)
ということは今回の事件の黒幕は南雲ってことに?
ちなみに、灰原が数年前に死亡していた、というのは、『パトレイバー劇場版』の犯人である帆場は実は存在しなかった、という当初のアイデアを彷彿させなくもないのだが、それを知らない人は、単純に犯罪者が他人の戸籍を買ったと思うんじゃないかなあ?そうすると、先に書いた南雲犯人説にも説得力が…。