思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ジャン=フランソワ・マンゾーニ&ジャン・ルイバルスー『よい上司ほど部下をダメにする』

『自分でやったほうが早い病』に近い内容だが、ちょっと違う。

「「できない部下」のマネジメントやその成績の向上は容易ではなく、失敗に終わることが多いと個人も企業も認識している。だが、上司が努力するためにかえって部下が失敗してしまうことは、まだあまり認識されていない。」

要するに、もうひとつ仕事ができない部下に対しては、上司としてはよりチェック頻度を上げたり、具体的な指示をするようになる、つまりは監視・束縛を強めることになるわけだが、それが潜在能力があるかもしれない部下のやる気を奪ってしまう、というのだ。

ではその対処にはどうすれば良いのか、というと、意外にも当たり前のことだった。

「フィードバックを与えるだけでは、症候群の進行は止まらない。これを止めるには、上司と部下が腹を割り、お互いの行動や意図について語り合うことが大切だ。」



近江堅一&近江良和『トヨタに学びたければトヨタを忘れろ 値引き要求・短納期に応える77の鉄則』

前書きばかり長くて、肝腎の「値引き要求・短納期に応える」鉄則は半分以下くらいしかない。

「「総合リードタイム」を短縮し、顧客に申し出る。これこそ「顧客感動」なのである。」

「これからの購買責任者は協力会社へ指値をする指示ができなければならない。複数の協力会社へ見積もりを出し、安い方へ発注するという旧式のやり方ではいけない。(略)調達日数も短縮させなければならない。そのために協力会社へ行き、加工法、加工時間を直接調べ、調達日数も指定していく主体性が必要である。(略)協力会社がその要求に応えられないと言ったら、協力会社へ出向き、コスト低減とリードタイム短縮の手法を教えてやるのである。この指導を行って、初めて協力会社も真剣に応えてくれる。」

「中小メーカーでは協力会社に外注加工を出している場合、ほとんどが受入検査を行っている。筆者は(略)受入検査をやめる指導をしている。これによって、協力会社での品質意識の向上と依頼する側の受入検査を行う工数が削減される。これらの外注加工以来は品質保証された加工品である。」

「筆者は、アンケートでは客の心はつかめないとアドバイスした。」

「運搬は1回で多くの製品(または半製品)を運ぶことが運搬効率が良いと思われがちであるが、(略)トヨタ生産方式は工程間の運搬を小刻みに行うのをよしとする。(略)運搬ロット分は、どんどん次工程に物が流れていく。また、A工程後の仕掛品を少なくすることになる。(略)部分最適をくずしても全体最適を狙うことに価値がある。確かに運搬そのものは付加価値(お金)を生まない。しかし、リードタイムを短くするためには、小刻み運搬はムダではない。」