思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『経済学的思考のすすめ』岩田規久男
☆☆☆☆
筑摩書房

何より、辛坊の本のインチキを徹底的に論破しているのが痛快である。(上念理論に従えば、彼はバカかスパイのどちらかであり、どっちの可能性も捨てがたい)

「あなたが友達(国)に百万円貸しながら、そのうち90万円を返してもらって、それを自分のための消費に使ったにもかかわらず、友達(国)に百万円貸したはずだから、百万円返せという辛坊本の話は、土台、無理な話である。」

「政府が国民からの借金を返済しないことを決めれば、定義によって、日本は破産する。しかし、日本のどの政党が政権をとろうとも、借金を棒引きして、党の信用を失うという、間抜けなことは決してしない。増税の道を選ぶはずである。すなわち、国家破産を選択する政権党はありえない。」

「年金給付額が減ると(略)持ち家を持っている人はそれを担保に銀行から借り入れ、その借金で消費を賄おうとするかもしれない。(略)年金保険料の引き下げは相続財産の減少で相殺されてしまい、差し引き負担の減少にはならない。」

「世界にはならないイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドスウェーデンフィンランドルクセンブルクなど、ヤフーやグーグルはもちろん、世界のトップを争う商品をほとんどあるいは全く開発しなくても、アメリカよりも高いあるいはアメリカ並みの成長を十五年以上も続けている国がたくさんある。」

「私的所有者が設定されていない、大気や河川や湖水や海などの自然環境が、なぜ汚染され、地球温暖化が進むのかを説明している。人も企業もこれらの自然環境もタダで、排気ガス、排水、廃棄物などの捨て場として利用するからである。」

経済学的思考のすすめ (筑摩選書)経済学的思考のすすめ (筑摩選書)
岩田 規久男

筑摩書房 2011-01-15