思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ミステリアス学園』鯨統一郎
☆☆☆☆
再々読。
返す返すも各話そして全体のボリューム不足が惜しいが、辻真先清涼院流水を(足さずに(^^;))割ったような結論からすると、これくらいの文量で丁度良いのかもしれない。
本作の眼目はミステリ概論と、『箱の中の失楽』とは似て非なるマトリョーシカ構造だろう。
そしてそれが単なる読者への眩惑だけに止まらず、オチに有機的に結びついているところが上手い。

『激マン!(4)』永井豪
☆☆☆☆★
デビルマン』のリメイクと舞台裏の両方をいっぺんにやろうという考えてみたら前代未聞の企画だが、ここへ来て大爆発した感じ。まるで山田風太郎の『八犬伝』に比肩する面白さだと言ったら言い過ぎか?
絵的に見れば確実に良くなっている。悪魔たちはデッサンも整いつつ、非現実的さが溢れているし、異様な迫力がある。このあたりはデッサン力は断然上な衣谷遊版『AMON』よりも怖い。


ただ、デビルマンじしんに関しては、連載時(単行本では絵が描きなおされているので)の異様な迫力を上回るものではないのが唯一の残念なところか。
さらに自衛隊の兵器類は、九○式やアパッチなど現代のそれになっているのだが、さすがにこれは時代的整合性が合わない(^_^;)
ただ、3巻から出てきた、デビルマンと戦争のテーマの結びつきについては、ちと納得しかねるのだが…。
大学紛争あたりの日本世論を背景に考えれば理解できるのかな〜?