思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

今回も3部構成だが、前の2作のような凝った構成ではなく、主人公は同じ双子で、その意味では読みやすい。3部構成なのは、第2章で二人が招集されてお馴染みの南方戦線ナムールへ行くから。
そこでは例によって日本軍のしごきや巨大昆虫、爬虫人などが出てくる。(シリーズに出てきたキャラも少しだけ顔を覗かせたりも…)
一卵性双生児(とは断言されていないが、たぶん一卵性だろう)なのに、片方だけが失恋、拷問、指名手配など、次々と理不尽な不幸なめにあう。
最後の方は達者な作者らしく、数々の伏線がきっちり回収される。ただ、この構成はほとんどそのままのやつ(前例)があったなあ…。まあ本作はミステリがメインではないのでいいけど。
エロ・グロは相変わらずで、なかでも眼球の神経を1本ずつハサミで切断される拷問(ではなく)を受ける弟を救うために手錠をはめられたまま、後ろ手に親指をノコギリで切断するシーンはけっこう“キた”ね。

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)
飴村 行

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-25