思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

古畑任三郎FINAL 今、甦る死

まず、思いっきりネタバレしてますので未見の方はご注意を。

まず、藤原竜也っていうのがあんまり好きになれない。行動じたいも無邪気な感じで(例えるなら『逆襲のシャア』のクェスみたいな)嫌だったのだが、最後に−−「今回の犯人は最も手強い」というような古畑のナレーションとともに−−明かされる真相は、なんと遠隔操作の犯罪。

なんでオープニングでゲストが2人もクレジットされているのかと思ったら、まあある意味予想通り犯人が二人だったわけだが、そういうことだったのかと納得。藤原竜也はある意味では犠牲者の一人であり、真の意味での犯人は石坂浩二ひとりだったわけだ。そう考えると、本話では倒叙ものとしての本作では毎回定番となっている、犯人の殺人場面が描かれなかった唯一のエピソードといえるのではないだろうか。逆に考えるとモロに描かれていた、とも言えなくはないが…。

いちばん引っかかっていた、藤原竜也の時限トリックを待っている間に石坂浩二が唐突に話をつないだ意味が分かって良かった。

こういう遠隔操作の殺人で、しかも刑事ドラマの場合、最大の問題は証拠。たんなる探偵小説なら探偵が犯人を指摘するだけでいいが、刑事ドラマでは犯人を逮捕しなければ格好が付かない。今回も、犯行そのものは完璧で、確たる証拠もない。完璧にしなければ盛り上がらないが、完璧にしすぎると逮捕できない、というアンビバレンツがありありと伺える。

で、結局、15年前に殺した死体が、凶器が刺さったまま、分かりやすいところに埋められている(はずだ)、という犯罪者心理を考えるとあり得ないオチに…。あれが凶器なら、残ったほうの石器にもルミノール反応で血液が検出されると思うのだが…。