思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

本田有明『上司になってはいけない人たち』を読む

印象に残ったところ

「煙たい部下は貴重である(略)たいていは個人的な思い込みや甘えにすぎない。しかし(略)傾聴したうえで、上司としての見解をきちんと説明すること。」
「人がやる気をかきたてられ、達成感を味わえるプロセスは「挑戦ー成功ー賞賛」である。(略)人がやる気を阻害されるプロセスは「プレッシャーー失敗ー叱責」である。こちらは上司が(略)意識の有無にかかわらず「できない部下」に与えがちなものだ。」


スター・ウォーズ ローグ・ワン』
☆☆☆★

ようやくテレビ放映。改めて、途中までが鈍重というか、いらない。最後の惑星に潜入した、それも同盟軍艦隊が到着してからだけで充分じゃない。ラスト15分だけで良い映画(考えたら、そんな20分くらいの短編を集めたオムニバス形式こそ、スピンオフには相応しいのかも。主人公を立てる必要もないし)。
デス・スターの惑星破壊砲の描写が、原爆はもちろん、『2012』や『ディープ・インパクト』なのが興味深い。特に後者のように、CGによる津波描写は見飽きたが、大地が津波のように次々に隆起する描写は盛り上がるポイントだ。ただ、初見時は気にならなかったが、改めて観ると、遠景のスローだけでなく、目の前を大小の岩石が、目にも止まらぬ速さで横切る事によるスケール感の演出が欲しい。

追記
『映画欠席裁判』
単なる宣伝・提灯記事ばかりの普通の雑誌などで取り上げられない批判的事実、毒舌が満載という意味では、山本弘田中公平、岡田トシオらの本と同じスタンス。

『殺戮ガール』
☆☆☆★
高校の観光バス消失事件を扱った「消失もの」の本格ミステリーかと思いきや、中身は連続殺人犯を追う刑事もの、ハードボイルド、ノワールと、視点人物は次々に変わる。犯人に迫る人物が消されて(殺されて)行くためでもあるのだが……。
終わってみれば、冒頭の観光バス消失の真相は犯人視点で描写されて終わり。おまけに、拍子抜けもいい真相。トリックというより、推理に必要な描写を省いたからこそ「謎」として成立するものだ。という以前に、警察がそのポイントを捜査しない事はあり得まい。
舞城王太郎の某作品(題名は『阿修羅ガール』だったっけ?)みたいな作品を期待したが、全然違った。
中盤の謎として、Lサイズのピザ5枚を一人で一ヶ月連続注文する独身女、というのがあるが、それも大したことない。
それより、連続殺人犯が、 『模倣犯』的な出方ならともかく、お笑い芸人としてテレビに出るかなぁ……?
ある程度犯人に近づいたら、何の手がかりもなく殺すんだから、いくらでも続けられるやん……( ´Д`)
ピカレスク・ロマン、またはノワールとしても、犯人の人間味や、犯行スタイルが魅力的ではないんだよなぁ……。いちおう、オセロ勝負や、設定したルールに基づいた結果には、犯人の意に沿わぬ結果でも従う、という事についても、これ以上の面白い説明はないだろうし。

刑事コロンボ 歌声の消えた海』
☆☆☆
これは比較的覚えていた。枕の羽根や脈拍など、手がかりが多く、簡単な事件と言える。
クルーズ船(単なる遠距離船舶?)の中なので、乗り合わせた名探偵が事件を解決する、というクローズド・サークルもの。これで倒叙ものでは、凝りようがないのでは…?
なぜこれがランキング上位に来るのか分からん。犯人役が有名な人だから??
印象深かったのは、コロンボのカミさんが最も視聴者の近くに肉薄するから。当時も、「今回こそコロンボのカミさんが見られる!」とめちゃくちゃ期待したのだが…(´д`)

『39夜』
☆☆★
一般人が国家機密をめぐる陰謀に巻き込まれる逃亡劇、という典型的な逃亡型サスペンス。
追跡者が間抜けなので追い詰められたり、捕まっても簡単に脱出できるとか、お人好しの協力者があちこちにいる、というこの手の映画のお約束も白黒時代から相変わらずなんだなぁ…と実感したり。最悪なのが、聖書で銃弾が止まったのはいいとしても、目の前で射った奴が確認もせず、簡単いにげ出せるところに放り込んでおいたこと。いくら女性とはいえ、手錠から引っ張っただけで手を外せるというあり得なさ。
国家機密を持ち出すのに「記憶屋」を使う、という手段は面白い。ミステリとして、冒頭にそれを見せておく、という伏線も上手いし。ただ、彼のステージをわざわざもう一度見せるのは、映画を終わらせるためだけ、という感じで、黒幕からしたらグダグダなのも、この手の映画のお約束。
それよりも、黒幕の組織が「39階段」というのだが、なぜ『39夜』にしたのかが分からん。別に40日の逃避行、というわけでもないのに。原題も『the 39 steps』。

追記
ヒッチコックの傑作とされているそうで、アマゾンの評価も高めだが、どこが?? という感じ。敢えて評価するとしたら、どんでん返しというか、危機が10分おきくらいに主人公を襲って、一息つく間もない、というくらい。

『ミッション:8ミニッツ』
☆☆☆☆
ほとんど期待してないで観たら、これが面白かった。
列車事故を阻止するため、繰り返しの時間を生きる男。設定だけ見れば小説『7回死んだ男』や映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』第4部ラストバトルみたいな、よくある(?)自らが死ぬタイプのタイムリープもの。
冒頭だけ見て、これからミッションを放棄して自分達だけ逃げたのが『ファイナル・デスティネーション』なんだよなぁ…(^_^;)と思ったり。
主人公の境遇という謎もあって、実に盛りだくさん。タイムリープの理屈ははっきり言ってテキトーだが、まあそんなものはどうでもよろしい。ラストのつながりが論理的かどうかも、まあ雰囲気重視。ラストといえば、なんとなく『マトリックス・レボリューションズ』みたいである。
失敗を繰り返しながら、爆弾の場所や犯人への手がかりを掴んでゆくサスペンスはなかなか面白い。犯人は1ターン目で目星がついたし、主人公の境遇についてもまあ、想定内。
最終ターンで、ヒロインがなぜか主人公のアプローチにノリノリなのは1、2ターン目と比べると明らかにおかしいのだが、まあその後の展開が良かったので許そう。
ラストと思われた、乗客のみんなが笑いながら、主人公もキスして終わるストップモーションに「(^▽^)!」と膝を打った
……のだが、その後は並行世界か循環宇宙的に格好つけすぎで蛇足にしか思えなかった。
哀しくも美しいラスト、で良かったじゃないか!(T_T)
 映画というより、人生のラストとして、あれ以上のラストシーンは考えられないのに。『タイタニック』で沈没する船で演奏し続けた楽団よりも名シーンとして語り継がれただろう。

そういや、タイトルクレジット出たっけ?

『キル・オア・ダイ 究極のデス・ゲーム』
☆☆★

原題は『マフィア』。ロシア映画である。未來、多数決によって10人の生死を決めるテレビ番組が人気を拍していた。
今回の中で生き残る(勝ち残る)のは誰か? という話なのだが、映画がそこから始まるのはいいとしても、誰に感情移入するとか以前に、どんどん投票&死亡者が出るので話にノリようがない。
まんま『ライアーゲーム』みたいな設定なのに、嘘を見破る探り合いや、グルになったメンバー、ルールの裏をかいた戦略、などがほとんどない。共謀らしきことはあるが、ほとんど大勢的には意味がないのだ。
そもそも、このゲームのルールじたいもトンデモで、市民かマフィアかをランダムに分けるだけで、死んだのがマフィア
でも市民でもペナルティはない。何ターンかすると、さらにランダムで死者が選ばれる。なんでこんな番組に参加しようと思うのか、理解に苦しむ。そもそも、勝ち残るとどうなるのかもよく分からない。アヴァン・タイトル的に、普段の番組が最初から最後まで見せるべき。
SF的には、脱落者が死ぬのは良いとして、犠牲者の精神内容か『マトリックス』的なバーチャル世界を視聴者に見せること。百歩譲って、犠牲者だけが体験するならいいけど。最後に拘束を解いて二人が死の球体に入ると、絶対に逃れられないであろうバーチャル世界でトラップを潜り抜けること。ご丁寧にモンスターにも弱点があるって……ってことは投票で破れても死なないこともあり得るの? 子供向けのご都合主義アニメみたいな杜撰な脚本なのだ。
ロシア映画ということを除けば、分かりやすいC級作品。CG予算はそれなりにかかっているようだが……。


数学ガールの秘密のノート 式とグラフ』結城浩
☆☆☆★
基本的な数式(恒等式とか)とグラフについて。文系や、中学生でも、ある程度基本知識があれば楽しめる。ちょっと物足りないくらい。
あからさまな萌えというか、読者に媚びたような美少女風描写が気になる人は、読み飛ばせるように固まっている親切構成(^_^;)
唯一、知的興奮を覚えたのは「比例と反比例のグラフ」の「反」とは
「比例のとき Y÷X=A(一定)
反比例のとき Y×X=A(一定)」
ということ。
Y=A/X
というお馴染みの式からは考えもしなかった対称性があったのだ。

吉田典生『部下を自立させる上司の技術』を読む

印象に残ったところ
「学習したことの成果が評価の対象になるという、ほんらいごく当たり前のことを実践」
「4つの報酬
名誉報酬
対人関係報酬
成長報酬
金銭報酬」


中原淳『残業学』を読む

印象に残ったところ

「マネージャー自身も忙しいと、どうしても「放っておいてもできる部下」に仕事を任せたくなります。そうすれば、その部下のことをあまり見なくても仕事が回り、任せられた部下の側も放っておいてもらえる。(略)中期的には(略)できない部下はいつまでもできない」

「組織開発において、まず取り組むべきは「見える化」です。(略)次に行うべきは、「関係者が一堂に会して真剣勝負の対話」を行うことです。(略)最後は自分たちの組織、チームをどうしていくのか、どうしたいのかを当事者たちが自分事として決めていく「未來づくり」です。」

「「会議のムダ」に強く影響していたのは、「会議が終わっても何も決まっていない」「終了時刻が延びる」という状況。(略)事前準備や目的の明確化などの「始まり方」は、ほとんど関係ありませんでした。(略)何よりも「終わらせ方」こそが会議のツボのようです。」

追記
『出雲星系の兵站
作者がガンダムファンなのはご存じとして、ガンダムっぽいネタが随所にあるのがポイント。
原子熱線砲というネーミングこそ『モスラ』だが、モノじたいは『MSイグルー』だし、レーザー破壊の描写はソーラ・システムだ。

『出雲星系の兵站(3)』
☆☆☆★

いちおう人類対ガイナスの戦いは続いているのだが、敵の正体どころか意図も見えない、おまけに膠着というか橋倒歩を築かれある種の膠着状態。
なので、起こっているのは強硬偵察と、それに対するリアクション。物語を読み進めるドライブ感が乏しい。兵站に立脚した、組織論と軍事論というディテールを楽しむ作品なので、当たり前というか、並立しない要素なのかもしれないが……。