思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『39夜』
☆☆★
一般人が国家機密をめぐる陰謀に巻き込まれる逃亡劇、という典型的な逃亡型サスペンス。
追跡者が間抜けなので追い詰められたり、捕まっても簡単に脱出できるとか、お人好しの協力者があちこちにいる、というこの手の映画のお約束も白黒時代から相変わらずなんだなぁ…と実感したり。最悪なのが、聖書で銃弾が止まったのはいいとしても、目の前で射った奴が確認もせず、簡単いにげ出せるところに放り込んでおいたこと。いくら女性とはいえ、手錠から引っ張っただけで手を外せるというあり得なさ。
国家機密を持ち出すのに「記憶屋」を使う、という手段は面白い。ミステリとして、冒頭にそれを見せておく、という伏線も上手いし。ただ、彼のステージをわざわざもう一度見せるのは、映画を終わらせるためだけ、という感じで、黒幕からしたらグダグダなのも、この手の映画のお約束。
それよりも、黒幕の組織が「39階段」というのだが、なぜ『39夜』にしたのかが分からん。別に40日の逃避行、というわけでもないのに。原題も『the 39 steps』。

追記
ヒッチコックの傑作とされているそうで、アマゾンの評価も高めだが、どこが?? という感じ。敢えて評価するとしたら、どんでん返しというか、危機が10分おきくらいに主人公を襲って、一息つく間もない、というくらい。

『ミッション:8ミニッツ』
☆☆☆☆
ほとんど期待してないで観たら、これが面白かった。
列車事故を阻止するため、繰り返しの時間を生きる男。設定だけ見れば小説『7回死んだ男』や映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』第4部ラストバトルみたいな、よくある(?)自らが死ぬタイプのタイムリープもの。
冒頭だけ見て、これからミッションを放棄して自分達だけ逃げたのが『ファイナル・デスティネーション』なんだよなぁ…(^_^;)と思ったり。
主人公の境遇という謎もあって、実に盛りだくさん。タイムリープの理屈ははっきり言ってテキトーだが、まあそんなものはどうでもよろしい。ラストのつながりが論理的かどうかも、まあ雰囲気重視。ラストといえば、なんとなく『マトリックス・レボリューションズ』みたいである。
失敗を繰り返しながら、爆弾の場所や犯人への手がかりを掴んでゆくサスペンスはなかなか面白い。犯人は1ターン目で目星がついたし、主人公の境遇についてもまあ、想定内。
最終ターンで、ヒロインがなぜか主人公のアプローチにノリノリなのは1、2ターン目と比べると明らかにおかしいのだが、まあその後の展開が良かったので許そう。
ラストと思われた、乗客のみんなが笑いながら、主人公もキスして終わるストップモーションに「(^▽^)!」と膝を打った
……のだが、その後は並行世界か循環宇宙的に格好つけすぎで蛇足にしか思えなかった。
哀しくも美しいラスト、で良かったじゃないか!(T_T)
 映画というより、人生のラストとして、あれ以上のラストシーンは考えられないのに。『タイタニック』で沈没する船で演奏し続けた楽団よりも名シーンとして語り継がれただろう。

そういや、タイトルクレジット出たっけ?