思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『検死審問 インクエスト』パーシヴァル・ワイルド著/越前敏弥訳
☆☆☆★

日本では馴染みがなく、解説によれば、訳語すら一種類に定着していないというインクエストを冠した小説を読めば、その制度についてよく分かる…と思ったが、本作では、ヘンな設定がウリなので、結果的にはよく分からなかった。例えるなら、『遠山の金さん』を見て江戸時代の裁判制度を勉強する、みたいな?
そんな感じで、検死審問ならではの謎とプロット、というより、さまざまな立場の関係者の証言から、真相を推理する、という点では良くも悪くも普通の海外法廷ものミステリーい大差ない。
最後に意外な過去の因縁と共に犯人が浮かび上がって来るあたりは、クリスティなど、いかにも戦前のミステリーだなあ…という感じ。
解説にあるような、ユーモア小説としてはほとんど楽しめなかったが…。

検死審問―インクエスト (創元推理文庫)検死審問―インクエスト (創元推理文庫)
パーシヴァル ワイルド Percival Wilde

東京創元社 2008-02