思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ダークナイト リターンズ」と「ダークナイト ストライクス・アゲイン」合本と準備稿やラフなどを収録したもの。

ダークナイト リターンズ』☆☆☆☆
なんかディズニーの『Mr.インクレディブル』の父親のような頭身のバットマンは、一見、ギャグにしか見えないのだが、見慣れてくれば、要するに『闇狩師』の九十九乱蔵みたいな体型にしたいのだと推察できる。まあ、ひいき目に見れば、だけど。
なんとなくだが、アメリカのコミックは、1コママンガ、いわゆるポンチ絵または風刺絵から発展したものなのかな…と思える。コピックで描いたような、冗談みたいな肩パットなどを見ると、ファッション・デザイナーのデザイン画も入ってる。ま、30年前ってこともあるのだが。日本のマンガでいえば、『GT Roman』や江川達也など、一部青年マンガの描写に近い。
マンガとしても、脚本、作画、着色が別人という分担作業体制といい、日本のマンガとは文法(読み方)が異なる。1ページに4×4コマが多いことなど、脚本主体なのかな…というのは映画と同じなのか?絵としてよりも会話またはモノローグでストーリーを進めていくことも特徴。
バットマンことブルース・ウェインは、40年ものブランクを経た60歳の初老で、映画のクリスチャン・ベールよりも、シュワちゃんのイメージか。
ロビンも女性なのだが、見た目でははっきり言って分からない。
映画との最大の違いは、スーパーマンが影の主役である、ということ。ジョーカーは、ラスボスというより、狂言回しに近い。
人形型の爆発、毒薬散布ロボについても、絵として判りにくい。
読者の方で善意に解釈すればいろいろ多重的にテーマを語っているのが分かるが、それをどこまで期待するか、あるいは必要だとするかは日本人にとっては難しいところ。ただし、それだけのポテンシャルを秘めた作品であることは分かる。


ダークナイト ストライクス・アゲイン』☆☆★
同一人物とは思えない、小学生が描いたかとも思える絵の雑さ、CGソフト黎明期のような着色のひどさ(良く言えばサイケ調)など、一転して、トンデモ作品。これを見ると、フランク・ミラーは脚本しか担当していない、絵は別人が描いているのでは?と思いたくなる。善意に解釈しても、『幽遊白書』と『レベルE』の違い、みたいな感じ?
内容も、アメコミのスーパーヒーロー総出演など、日本人にはとっつきにくいことこの上ない。付録の注釈を見て、なんとなく雰囲気が分かるていど。日本でいえば、『キカイダー』と『ウルトラマン』が二大主役で、ミラーマンシルバー仮面スペクトルマンやファイヤーマン、ポワトリンが同時に出てくる、みたいなトンデモさ。
本作でも、結局はスーパーマンが主役で、バットマンは中盤以降にちょこちょこ出てくるだけ。ラストはロビン=キャットウーマンの話だし。
4000円もするんだから、こっちは収録せずに半額にしてよ……(´д`)

DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト(ケース付) (SHO-PRO BOOKS)DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト(ケース付) (SHO-PRO BOOKS)
フランク・ミラー クラウス・ジャンセン(画)

小学館集英社プロダクション 2009-09-01