思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ひだり』倉坂鬼一郎
☆☆☆★

このシリーズ、タイトルが似ているだけで、共通する登場人物がいるわけではない、不思議なシリーズだ。確かに、ホラーの真面目である、何が起こるか分からない不安を掻き立てるには、効果的な設定だろう。シリーズ登場人物イコール死なない、ということだから。
とはいえ、過去の作品に登場したような書き方の登場人物は出てくる。
『うしろ』のようなホラーかと思いきや、伝奇小説的な側面もあって、予断を抱かせない展開。
中でも主人公が「友垣」に遭う場面は秀逸。どうせなら最後まで一人称で書き切って欲しかった。もしそうであれば、『英霊の声』的な佳作になったかも。
最後のカタルシス(カタストロフ?)的展開は、やりすぎというか不要だったかも…。過去の六人が目覚めるかも…というあたりで寸止めしといても良かったかもしれない。


釘山健一『リーダーシップも話術も不要 会議のファシリテーションの基本がイチから身につく本』

まさに会議におけるファシリテーションの教科書といえる本

「「ファシリテーターは、意見がある程度出てきたら次のように言います。 「みなさん、今出された意見を整理するとどうなりますか?」 これは、まさにファシリテーターらしい言い方です。自分で整理するのではなく、参加者に整理させるのです。」

「「今の発言に対してご意見はありませんか?」と「他に意見はありませんか?」では、会議の雰囲気という面で大きく違ってきます。「他に意見はありませんか?」という問いかけは、できるだけいろいろな人の意見を聴こうという思いをベースにした進行となっているのです。」

「通常の口の字型の机の配置では、参加者の前に空間ができてしまいます。この空間は、じつは空間ではなく「見えない壁」なのです。 人の気持ちを遮断している壁です。 この壁のせいで会議はギスギスします。机を島型にすることにより、この「見えない壁」がなくなり、参加者同士に密な雰囲気が生まれます。」

「会議のはじめに、5〜10分の時間を取り、参加者に自分の思いをすべて書き出すように言います。”すべて”書き出させることがポイントです。カードに書き出すだけで、参加者はかなり胸がスーッとし、満足感が得られます。 この胸がスーッとするという満足感が大切です。 今までの会議で「満足」するほど、自分の意見を吐き出したことがあるでしょうか?この満足感が“会議の満足感”となり、決めたことを実行していこうという意識へとつながるのです。」

「「これについて20個の解決方法を書き出してみてください」というものがあります。 10個ではだめなのです。(略)10個だと少し頑張ると書き出せるからです。20個となると、かなり頭を絞らないと書き出せません。(略)一種の挑戦です。だから、楽しいのです。(略)もっとたくさんと挑んで書き出すことは、それだけで前向きな楽しい雰囲気をつくります。」

「(1)まず、意見の書かれたポストイットを模造紙に全部はり出す
 (2)「さあ、似たもの同士をくっつけましょう」と言って、意見の似たもの同士を集める(約15〜20分)
 (3)集めたものをマジックで丸く囲む
 (4)丸で囲んだ意見に見出しをつける
 *ここまでの作業をグループのメンバー全員でおこなわせます。勘違いしないでいただきたいのは、これはファシリテーターがやるのではなく、グループのメンバーがやるということです。

ここまでが意見の整理です。しかし、整理しただけで終わってはいけません。(略)「整理したものを参考に、グループでひとつの意見にまとめてください」 ここで大切なことは「いい意見を選んでください」ではなく、「ひとつの意見にまとめてください」と言うことです。 個人の考えた意見から選ぶのではなく、みんなの意見を参考に個人で考えた以上の意見をみんなで考えるということです。この違いは「対立」と「共同」の違いとなり、会議の雰囲気に大きく影響を与えます。」

「合意形成型会議とは、多数決をしていけない会議ではなく、多数決で決めても文句が出ない(少ない)会議です。(略)100%最善の策をつくりあげることを目指す組織より、80%の策かもしれないが、その80%の策にとにかく全員が一致して一度は取り組んでみることができる組織のほうが強いのです。(略)全員が「ここまで話したのだから多数決で決めるしかないな」と“合意”していることが大切なのです。」

「「複数」用意した会議グッズが参加者の主体性を引き出します。
・複数用意する
・少し多めに用意する
・余分なものまで用意する
(略)
ひとつの島に用意する会議グッズの例
お菓子
お茶
キッチンタイマー
ポストイット
A4用紙
A3用紙
模造紙
黒のサインペン
6色水性マーカー」

「「みなさん、どうしましょうか?」 これをファシリテーターの黄金の言葉と呼んでいます。ファシリテーターが考えるのではなく、まず参加者に考えさせる。常にこれを意識してください。」

「参加者がホワイトボードのところに出てきて、書きながら発言する」