思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ブランク・ダイヴ』読了
確かにあとがきに、これまでのイーガンの短編集中、最もハードSF色の強い本だというだけあって、なかなか手ごわい。
物理学のみならず、数学のテクニカル・タームまで出てくるのがイーガンの一筋縄では行かないところ。
とはいえ、円城塔のように意味のない文章の羅列ではなく、物語としての体裁は整っているので、じっくり読めばなんとなく分かる。
ベストは『ワンの絨毯』(全然覚えてなかったが『ディアスポラ』の原形らしい)で、次点がクラーク的な宇宙の広がりと楽天主義の『伝播』。

プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)
グレッグ・イーガン 鷲尾直広

早川書房 2011-09-22

『幸不幸の分かれ道』読了
哲学書でもユーモアエッセイでもないと断ってあるが、なんとその実は人生を楽しく過ごす秘訣を書いたエッセイ。
常識を疑え、ということを言うために宗教、政治、経済まで例に挙げる中盤までは、(私が哲学の基本は知っているからかもしれないが)同じようなことの繰り返しで退屈だが、実例を挙げたユーモアの効能が紹介される最終章は素晴らしい。
土屋教授の本(エッセイと哲学)を読んで来た人は最終章だけ読んで構わない。

幸・不幸の分かれ道 考え違いとユーモア幸・不幸の分かれ道 考え違いとユーモア
土屋 賢二

東京書籍 2011-07-30