思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

12/16〜12/18
燃えよ剣』のための習作かと思っていたが、解説によると同時連載だったようだ。
新撰組はなんせメンバーが多いし、入れ替わりも多いため、『忠臣蔵』以上にマニアじゃないと誰がどんな人か把握しづらい。
そういう点で、列伝形式の連作短篇集である本作はかなり親切かつ楽しめる内容になっている。
ただ、読むほどに新撰組っていうのはただの殺人集団、現在でいえばヤクザかマフィアのようにしか思えない。(歴女的なファンっていうのは、たんなるアイドル集団としか見ていない、浅薄な理解しかしていないように思われる)
なんといっても、これ、という思想がないのが致命的だろう。時流に流された、最後の侍、という意味に於いてのみ意義がある、というべきか。
いざというときに腹を召せるのが侍、というのは現在に復活したい志だろう。別に自殺しなくてもいいが、こと役人や政治家においては自分が責任を取る、という覚悟が必要だ。だからこそ尊敬もされる。
そうそう、横尾忠則にしてはあまりにも最悪なカバーは大問題。まだ写真がなかったら、あるいは白バックなら良かったのだろうが…。

新選組血風録 (中公文庫)新選組血風録 (中公文庫)

中央公論社 1996-04