思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『天竺熱風録(3)』
☆☆☆☆★

追手の追撃を受けつつも、ネパールに到着した二人。
(圧倒的なデッサン力によるポージングと構図から生まれる)ド迫力のアクション、ネパール王の神秘的な高貴さ(一見「白く」見えるが)など、どこを取っても最高レベル。
最初は神聖だったネパール王が、みなもと太郎風に言えば、「このマンガに馴染んで」来ると、ギャグ顔も見せるあたりも興味深い。



『硝子のドレス』
☆☆☆★

ダイエットをテーマにしたサスペンス・ミステリー。純粋に本格ミステリとしてみると、ほぼ全ての要素は、どこかで見たような展開ばかりだ。
ダイエット会社による、監禁、失踪、殺人など、本作でやっていることは新興宗教ものミステリーと全く同じ。
もちろん、(恐らく)女流作家ならではの、痩せて美しくなりたい女性の内面描写がポイントではあるのだが…。それはラストに真面目を発揮する。それを筆頭に、本作はホラー寄りのエンタメ小説として、あるいはホワイダニットとして読むのが最も楽しめるタイプの作品であろう。
それだけでなく、婚約者が突然消えた男の視点と交互に描くことで、ミステリーっぽさを増している。
全体のトーンは、吉村達也のサイコものに近い印象。

以下、ネタバレ気味

本作は、人間関係が非常にややこしく、ミステリー的には凝っているとも言えるが、逆に途中からうんざりしてきて、どうでも良く感じてくるのも事実。