思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

山名敏文『大不況に勝つ 山名式 5Sの進め方』

「「将来使うかもしれない」ものは当然のこととして、「明日使う」ものだとしても「今日」使うのでなければ、変更があると見て、置き場を考える(整理する)ことが必要です。「いつかは使うかもしれない」という物を手元に置くことが整理が失敗する始まりだと思ってください。」

「どこの会社も、周りと違って特別だという意識を持っていて(略)「特別だ」と思い込んでいては改善はできないものだということを理解してください。」


ファウンデーションの危機』☆☆☆★

『第二ファウンデーション』の後を描くのかと思いきや、『ファウンデーションの誕生』の後。セルダンが皇帝から首相に推挙されるところから始まる。
六百ページを超える大作だが、はっきり言ってコンピューターによる歴史上の人物、ジャンヌダルクヴォルテールのシミュレーション、模造人格や、『アヴァター』ばりのチンパンジーへの精神移送(?)など、なくても良い要素を除けば、二百ページは削減できる(3部作の残り2作への伏線だったらしょうがないが)。
テイストもアシモフのウィットに富んだ会話主体のものから、客観的とまではずれていないが、一人称主体になっている。あとがきによれば、このあたりも自覚的にやってるらしい。
また、アシモフと言えばミステリーを基盤(ファウンデーション)とした構成が魅力だが、そのへんは本作でも多少は味わえるようになっている。ロボットと、より単純な「からくり(チクタク)」という二種類の機械の使い方がそれだ。
あくまでも3部作の序章なので謎や伏線の畳み方がほとんどなく、長い割に、読後感はスッキリしない。おまけにSF的アイデア、設定・風呂敷を広げる驚きも余りない。典型的なイマイチベンフォード作品の読後感と同じかも(^_^;)