思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

♯映画


キラー・サスペクト
☆☆☆

全然見る気にならない邦題だが、原題は『モノクローム』。そう聞くと、なんだか叙情的なテーマがありそう。
オープニングや、場面転換に出てくるタイポグラフィも、細いゴティックで格好いい。
冒頭、逮捕された巨額横領犯の恋人が逃亡した、その後を描く。それを追うイギリスの新人プロファイラー。
最初は全然関係なさそうな二本線だが、本作は要するに、ダブル主人公構成。
ネタバレなしで語るのは難しいが、とりあえず原題の意味はよくわからなかった(^^;)でも、この邦題でもわからないのは変わらないよね(´Д`) 頭をひねるなら、『逃亡者/復讐者』みたいな?

以下ネタバレ

女主人公は、逃亡する際に、クレジットカードが使えないと知ると、ためらいなくスマートフォンSIMカードを抜いて、本体までも駅のトイレ流す、思い切りもよく、頭も回る人物。ヒッチハイクを繰り返して、ただで住み込みのお手伝いとして雇ってくれる富裕層を探す。それだけなら、逃亡生活を続ける犯人VS、新人天才捜査官、みたいな話になろうに、傲慢な富裕層の主人公を見下す態度に耐えかねて、殺人と逃亡を繰り返す。
容疑者は「金がなくても暮らせることを証明したかった」などと供述しています、みたいな感じで、単にまじめに働く気がないのが半分で、その言い訳にしか聞こえない。
男主人公のほうは、たった一人の新しい部署なので、せっかく女主人公を見つけても、協力してくれないどころか、逮捕を妨害されてしまう。なにしろ、そいつも横領犯なんかとも共謀して金をネコババしている共犯だったのだ。
クライマックス、二人が語り合うシーンでは、よくあるような、警察に説得されて改心するでもなし、犯人に同情するでもなし、という絶妙なアサーションが興味深い。