思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ジュピター』
☆☆☆☆

キーワード
舞台は『指輪物語』と『フィフス・エレメント』に『スター・ウォーズ』プリークェルを足した感じ。
冒頭の街の雰囲気は『マトリックス
スター・ウォーズ ファントム・メナス』からは王宮
スター・ウォーズ シスの復讐』の溶岩のイメージも。ヒーローたちのビジュアルは『バトルフィールド・アース』や『ガルーダ』を想起させたり(前者は未見だが)
主人公を始め、美男美女なし。唯一の例外が王女。あとで若返ったので、違和感は老けメイクのせいかと納得。地球での黒人や日本人っぽいやつらも違和感バリバリ。
でも、主人公は徐々に美しく見えてくる。実際に作中で王女としてメイクされることもあるが、エピローグでも、明らかに最初の下働きのメイクとは違うのでは…?(もう一度見ないと断定できない) あ、この話は『シンデレラ』か?
見たことのない映像はないが、通して見たルックに満腹感があった。中でも艦船は、ちょっと永野守的な羽根と、『フィフス・エレメント』のゴシック調と、『第9地区』のようなエッジの四角い感じが恰好良い。羽根が浮いてるとことかはゲーム『アヌビス』あたりのイメージも
ロボットのようで胴体と脚と羽根しかないやつに乗って敵艦に突入するシーンは『トップをねらえ!』みたいで、このへんの、結婚式のシーン(衣装が素晴らしい)も含めて、クライマックスと言って良い。ここで終わってりゃ良かったのに、人気があるから無理やり連載延長させられたような第二部に。さらわれた家族を取り戻しに行くのだが、いまいち家族の絆がしっかり描かれたいないので、長兄王族の取引を拒む動機として弱い。シンデレラみたいな下女的設定にしないで、犬の散歩が日課の平和な家庭にしておけば、ヒーロー役の傭兵に惹かれる説得力も含めて良かったのでは?
最後に崩壊する首都から脱出するくだりは、最近のハリウッド映画のトレンドなのかもしれないが、長すぎ。『スター・ウォーズ シスの復讐』くらいでちょうどいい。
そもそも、この話、現代を舞台にする必要あったか?木星に銀河を支配する王族の宮殿がある、というのが不自然すぎ。人間を若返りのエネルギーを採取する資源にする、という設定も『マトリックス』や『まどマギ』を始め、斬新なものではないし。彼らや爬虫類的ドラゴンが英語を喋るのもヘンだし。そのくせ主人公はロシア人てロシア語も出てくる。
なぜか王女に即位するためにお役所内をたらい回しにされるシーンたげ妙にアナログかつアナクロ。『千と千尋』というより、『マトリックス』シリーズ的で、ウォシャウスキーのテイストか。アナログに見えて、3POや『フィフス・エレメント』のDJのようなキャラはCG技術の精華だし、王家の入れ墨のガジェットも面白かった。
出てくると、毎回裏切り者役、という気がするショーン・ビーン(^_^;)
ラストはヒーローと空を駆け回るのではなく、せっかく買ってもらった望遠鏡で木星を見上げなきゃ!
なんだかんだ言っても、それなりに楽しい異世界探検ツアーだった。CMでもあった惑星のリングを割って出てくる宇宙船のシーンを見るだけでも価値あり。