思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『箱根の坂(上)』読了

北条早雲っていうのは私にとっては謎だった人物の一人。北条氏というと、堅城・小田原城というくらいのイメージしかない。
予備知識がほとんどないので、誰が北条早雲か?というミステリー的な楽しみも序盤にはあった。なにしろ最初に出てくるのが小次郎なる京都の近くの山奥の百姓で、次が郷士的な荒木兵庫。彼らが京に行って初めて、伊勢新九郎なる人物が出てくるのだ。最初はてっきり小次郎が北条早雲かと思ったら、新九郎が出てきてようやく、先の二人の出番が減るので、新九郎が北条早雲になるのだと見えてくる。
終盤で作者自ら書いているが、作者の書きたかったのは、応仁の乱の時期の時勢や、北条早雲が歴史に現れ出でる前の前半生、ということらしい。上巻のラストでようやく今川義忠が死に、駿河へと向かうくらいなのだ。
全編これ余談、という話だが、司馬作品だから、余談のほうが面白かったりするわけで、別段文句は、ない。