思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

轟轟戦隊ボウケンジャー

これは傑作エピソードか大駄作か…?
評価が分かれそうだが、私は傑作と見ていいと思う。
簡単に言うと、ダークシャドウに作られた失敗作の九十九神“芥神(アクタガミ)”が、ボウケンシルバーと交流するという話。
フクロウが術をかける時にシズカがゴミをひっくり返すところからもギャグ回であるのは分かるし、ギャグが一貫してあるのは分かるが、結構重いテーマもまた、あちこちに出てくる。
人類の環境破壊問題、人類がそんなに偉いのかという哲学的テーマ、『アルジャーノンに花束を』にも通じる頭の良くないやつが一時的に天才になるという設定、その天才アクタガミが自らの末路を予測していたという伏線などなど。
関東全域にゴミの雨を降らせたり、巨大化もせずに原子力発電所を破壊するなど、秘かに攻撃力ももの凄いのだが、これはギャグのほうに属するのでツッコまずにおこう。
感心したのは、先にも触れた最後。
天才アクタガミがシルバーに「友情の証し」として渡したお札、アホに戻った上にダークシャドウに操られた時にシルバーが覚醒させようとしてお札を見せた時、それがアクタガミに炸裂し、消滅……したと思わせて、巨大化を破るものだった。元に戻ったアクタガミはシルバーに導かれて人目の届かない山奥に隠棲する。こういうちゃんと頭を使った戦い・展開は好き。
アイキャッチに入る時に、シルバーのジャケットのマークと同じ位置からアイキャッチの映像になる、という細かい演出も良い。ロボもサイレンビルダーしか出てこないとか、番外編ならではの渋い展開だったし。
まあ、要するにボウケンジャー版『アルジャーノンに花束を』っていうひとことで済むのかもしれないけど。