思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『天空の蜂』開始・読了

今まで読んだ東野圭吾作品からすると意外な、ポリティカル・フィクションもの。
自動操縦が可能な新型ヘリを遠隔操作で奪い、原発上空でホバリングさせ、日本中の原発を停めないとヘリを落とす、と脅迫する。
原発の意義と危険性を取り上げた、という意味では社会派的だが、ヘリの奪取方法などのディテールには甘いところもある。
わずか十時間ほどで犯人を探さなければいけない、刑事ドラマかというとそうでもなく、物語は多くの関係者、そして犯人も含めた群衆劇として描かれている。
終盤では、犯人の動機がクローズアップされるし、結局は焦点がぼやけている、または盛りだくさんという仕上がりになっている。
まあ、例によって抜群に読みやすいので所要時間比で考えれば、充分☆☆☆☆はある。
しかし、犯人をチュウバンで明かすのはどうだったであろうか。コン・ゲーム、あるいは知恵比べとしてはそれほどドキドキしなかったのが惜しい。色々な要素を盛り込み過ぎたか。